大手回転寿司チェーン「スシロー」の店舗で、少年が醤油のボトルや湯呑みを舐める動画がSNSで拡散し問題になりました。

こうした迷惑動画が投稿される背景や、スシローの今後の対策について取材しました。

■動画は高校生が発信か… 同世代の反応は

 今回の動画は高校生が発信したものとみられていますが、同世代の人はどう思っているのか、名古屋の街で聞きました。

高校3年生2人:
「やばいですよね」
「他に使う人がいるから、その人たちに迷惑。お店にも迷惑」

大学2年生2人:
「びっくりですね。お寿司屋さんに行くのが怖くなりましたね」
「驚きました。ああいう人いるんだなって」

高校3年生2人:
「気持ち悪いなと思いました。ありえないですね。自分の友達がやっていたらありえないなと思います」
「引くよね。若い人の印象が悪くなりそうでちょっと嫌だよね」

そろって否定的な意見が聞かれました。

【動画で見る】“湯呑み舐め”に“わさび乗せ”…なぜ『回転寿司店』で迷惑行為が続発?評論家「コロナ禍の取り組みが仇に」


■スシローはレーンにアクリル板を設置するなど対策 「一定のルールを守って」

 回転寿司店での迷惑行為は他にもあります。「はま寿司」では、レーンから流れてくる寿司にスプーンでこぼれ落ちるほどの量のわさびを乗せたり、他人が注文したとみられる寿司を横取りして食べる動画も拡散されました。

なぜ回転寿司店で迷惑行為が相次いだのか、回転寿司評論家の米川伸生(よねかわ・のぶお)さんに話を伺いました。

米川さん:
「(店に)入ってから出るまで、1回も店員さんと接触しないという場になりつつあって」

タッチパネルや客の元に直接届く専用レーンの設置、さらに会計もセルフになるなど、人員削減が影響を及ぼしているといいます。

米川さん:
「コロナ禍の取り組みとして評価されていたんですけど、逆にそれがあだになってしまったというか、監視の目が緩んだことで今回のようなことをしでかす方が出てきてしまったのかなと思います。繁華街に大きな回転寿司店が出店したりとか、若い方が来やすい環境ができて、ファストフードに行っていたような高校生たちが、アフタースクールで回転寿司店に行くようになっている」

子供だけで行くことで、親の監視の目がなくなったことも原因の一つだと指摘します。

 スシローは既に対策をとっていました。

フード&ライフカンパニーズの担当者:
「セルフサービスのスタンドをご用意しました。そこでお取りいただいて、ご自身の席にお持ちいただいて、ご利用いただくことも今進めています」

今回の件が起きた岐阜正木店とその近隣の1店舗では、食べる際に使う食器や調味料は店内の1カ所に集め、客がそこから取って行くスタイルに変更。

さらに、レーンにも新たに対策を講じることにしています。

フード&ライフカンパニーズの担当者:
「今回のように、悪意のある方が手を伸ばせばすぐに手が入るような形を防ぐという意味で、席の幅の部分についてはアクリル板で閉じてしまって」

ボックス席とレーンの間にアクリル板を設置し、寿司が取れる場所を席の中央のみにすることで、むやみに寿司に触れないようにするといいます。

フード&ライフカンパニーズの担当者:
「元々悪意を持って来られる方はほとんどいらっしゃらないと思っているんですよ。『楽しみたい、楽しいよね』という表現の中で、ちょっと方向が間違ってしまうこともあると思います。やっぱり一定のルールがあるので、そこを守っていただきたい」

■バイトテロに迷惑系ユーチューバー… 専門家「歴史は繰り返される」

 回転寿司店に限らず、全国で相次ぐ迷惑動画の投稿の背景には何があるのか、ITジャーナリストの井上トシユキさんに話を伺いました。

井上さん:
「一言でいえば『喉元過ぎれば熱さを忘れる』。歴史は繰り返されているというところだと思います。2013年ごろに1度、動画ではなく画像でふざけたものをSNSに投稿するということがありました」

2013年、そば店でアルバイトの男性が食洗器に入ったり、コンビニで男性客がアイスケースの中に入るなど、迷惑行為が相次ぎました。

その後、騒ぎは沈静化したようにみえましたが…。

井上さん:
「5~6年前になりますでしょうか、“迷惑系ユーチューバー”というのが出てくるんですね。今度は動画で悪ふざけをする、あるいは迷惑行為をするというのがまた一気に流行ります」

3年前には愛知県岡崎市のスーパーで、男が会計前の魚の切り身のパックを開封して食べるという行為も。

 こうした動画投稿の背景にあるものとは…。

井上さん:
「リテラシー教育が熱心に行われているというところの裏返しの部分があるんだと思います。大多数の普通の生徒は、こういうことはやっちゃダメだということは分かっているんです。ところがその一部の生徒は、悪い意味での承認欲求、称賛を浴びたりとか、「アイツ面白いぞ!アイツすげぇぞ!」という快感に酔ってしまう部分があると思います」

では、どのように対策すればよいのでしょうか?

井上さん:
「若い頃って、常識を踏み外したいという欲求があるのは分かるんですけれども、ルールを破ると当然罰が与えられてしまうんだよということを、(周囲の大人が)言い続けるしかないと思いますね」

2023年2月3日放送