愛知県豊橋市の市民団体が20日、市が進める新アリーナ建設の賛否を問う住民投票の実施のため、市長に条例を制定するよう直接請求しました。

 20日、豊橋市長宛に提出されたのは、市民およそ1万6000人分の署名です。

請求代表者:
「ぜひ市民の声を聞いた対応をしていただけるよう、強く要請をして請求いたします」

 イベントなどを行うアリーナの建設について、賛否を問う住民投票を求め、市長に直接請求しました。

 今回請求を行った市民団体が問題視しているのは、アリーナの建設が予定されている場所です。

【動画で見る】道路渋滞招く恐れ…新アリーナ建設の賛否問う住民投票 市民団体が市長に直接請求 “別の不安要素”も

藤田茂樹共同代表:
「豊川がそこを流れていますね。国道1号線と川に囲まれていて逃げ場がないんです。ここから出ようとすると国道1号線に出るしかなくて、非常に時間がかかるんです。周辺のわれわれの生活に多大な影響というか、非常に苦労するんじゃないかと」

 建設予定地の豊橋公園周辺は、市役所などが立ち並ぶ市の中心地です。

 近くに国道が交わる大きな交差点もあり、交通量が多く周辺で道路渋滞を招く恐れがあることなどから計画に反対していて、賛否を市民に問う住民投票の実施に向け活動を始めました。

 住民投票を実施するには、条例を制定する必要があります。市長に直接請求するには豊橋市の有権者の50分の1、およそ6000人分の署名が必要でしたが、今回はその3倍近くのおよそ1万6000人分の署名が集まりました。

藤田共同代表:
「市民の皆さんが本当に切実な気持ちで署名簿に署名をしていただいたという事実を重く受け止めて、対応していただくように切に願っています」

 このアリーナ建設を巡っては別の不安要素もあります。

(リポート)
「豊橋公園のすぐ横には朝倉川が流れています。私が今いるこの場所も、氾濫想定区域に含まれています」

 アリーナの建設予定地の一部は、愛知県が「家屋倒壊等氾濫想定区域」に指定しています。洪水が起きた際に家屋の倒壊などの恐れがあるとされていますが、豊橋市はこのことを把握しないまま、2022年5月にアリーナの整備計画を発表しました。

 アリーナを災害時の防災活動拠点に活用する方針であることも明らかになり、新たな火種となっています。

豊橋市の担当者:
「当時、ハザードマップについてはまだ反映されていない状況でした。市の内部において情報の共有がうまくいっていなかった」

 市は安全性を確認したうえで、現在の建設予定地の範囲内で計画を進める方針だといいます。

 住民投票に関する条例案は3月議会で議決されますが、市議会は新アリーナを推進する自民党などが過半数を占めていることから、否決される見通しです。