
年度替わりが近づく時期に忙しくなる業種の1つが、いわゆる“便利屋さん”です。利用者の中には、春ならではの依頼をする人もいます。
1メートル以上の雑草が生い茂る庭。赤いシャツの男性が現れると、1時間ほどで草むしりを終え、綺麗にしました。

赤いシャツの男性は、日が暮れた後、暗いマンションの廊下に現れると、手際よく天井の電球を交換。他にも屋根裏に挟まった子猫の救出など、様々な現場に赴きます。
【動画で見る】新生活に向けた依頼等増…春先忙しくなる街の『便利屋さん』に密着 待ち受けていた“天井まである大きな棚”

赤いシャツの男性が所属するのは、全国で「生活支援サービス」を提供する愛知県清須市の企業「ベンリー」。いわゆる“便利屋さん”です。

毎年この春先は最も忙しくなるということで、3月5日、清須市の本社に所属する大川真也さんに同行取材しました。
訪れたのは、愛西市にあるまだ新しい一軒家。依頼内容は「室内用物干し」の設置ですが、その理由は…。

依頼者:
「(花粉で)外に干すのが…。加湿にもなるから(室内に)かけておきたいねという話になりまして」
過去10年で最大レベルといわれる、2023年の花粉の飛散。花粉症対策で洗濯物を部屋で干せるようにしたいといいます。ただし、こだわりの注文も。
依頼者:
「部屋の感じが変わらないものがいい。(家を)こだわって作ったので」
事前に打ち合わせをしていますが、細かい位置やこだわりを現場で話し合いながら進め、部屋の雰囲気を壊さない物干しが完成しました。

依頼者:
「こんなのがあるって分からなかったので助かりました」
ベンリーの基本料金は1時間4400円(出張・作業費別)です。大川さんは余った時間で別の提案をしました。
ベンリーコーポレーションの大川さん:
「色々考えたんですけど、ピクチャーレールを付けて垂らしてあげれば、前に倒れてくるのは防げるかなと」
事前に受けていた「子供の絵本棚を、壁に穴をあけずに固定したい」という相談について提案した解決策を気に入ってもらい、早速取り付け。物干しの取り付けと合わせて、1時間以内で作業が完了しました。

続いて向かったのは、名古屋市内のマンションの1室。依頼内容は「天井まである大きな棚を、解体せずに動かしてほしい」というものです。

春から小学生の子どもが高学年に進級するため、棚を仕切りにして自分のスペースを作ってあげたい、ということでした。
わずか10分で希望通りの配置が完了。残った時間を使って、電子ピアノやソファの移動のリクエストにも応じました。

ベンリーコーポレーションの大川さん:
「結構大きな家具で重かったので、一時はどうなることかと思いましたけど。うまく運べて本当に良かったです」
日常の些細な「困りごと」だけでなく、花粉や進級など、春ならではの依頼も多いようです。