2023年5月27日、名古屋市昭和区の鶴舞公園に新たな飲食施設「TSURUMA GARDEN(ツルマガーデン)」がオープンしました。どんなお店があるのかや、なぜ歴史ある公園に飲食施設が誕生したのかを調べました。

■ギリギリの位置に生えている木も…新施設は木を避けるように設置

 訪れたのは6月1日。ツルマガーデンは平日の午前中にもかかわらず、行列ができている店舗もありました。

 鶴舞駅側の入口近くはもともと休憩所やパターゴルフ場がありましたが、利用者が少なかったため全面リニューアル。開発の際、自然はできるだけ残して、木を避けるように店が建てられています。

【動画で見る】パターゴルフ場等からリニューアル…名古屋・鶴舞公園に飲食施設『ツルマガーデン』公園全体の客足にも変化

女性:
「きっと並んでいるだろうなとは思いました」

男性:
「バラとアジサイが咲いているので、そのついでに」

矢作地所の担当者:
「土日は何となく予想はしていたんですけれど、平日でここまでというのは本当に想定外でびっくりしています」

■次々売れる新“天むす”の専門店…行列店その1「鬼天」

 行列が目立つ店を取材しました。まずは名古屋めしのひとつ、天むすの専門店「鬼天」です。

 エビだけでなく、大葉やアスパラコーンといった野菜、そして梅干しやだし巻き卵も天ぷらになっていて、約10種類の個性派天むすを味わうことができます。

鬼天の担当者:
「開店したらすぐにお客さんに並んでいただいて本当にありがたい。(早いと)1時間で全部なくなっちゃって」

 作っては補充してまた作る、という忙しさだといいます。

鬼天の担当者:
「『公園で食べたい』と言ってくれる方もいたり、近所に住まれている方が散歩しながら見に来てくれたり」

 公園という場所柄、持ち帰りができて、散策のお供になるものが特に人気のようです。

■いちごだらけのパンやスイーツ…行列店その2「いちごぱん」

 次の行列店はパンの店「いちごぱん」です。

 いちごと生クリームをコッペパンにはさんだパンなど、いちごをふんだんに使ったパンやスイーツが名物です。

いちごぱんのオーナー:
「手土産で持っていかれる方も見受けられますね。昨日・一昨日だと完売してしまいまして。予想以上でこんなに来ていただけてありがたいなと」

 手土産に買っていく人も多く、朝から焼きっぱなしで休む間もなく、急遽スタッフを増やすなどして対応しているということです。

■映え写真の撮影チャンスもアリ…行列店その3「tartotte」

 タルトの専門店「tartotte(タルトッテ)」は、7種類のフルーツを使ったものや、マンゴーをたっぷりのせた期間限定商品など、色とりどりのタルトが並びます。

 買う時には、箱詰めの前に注文の確認がてら宝石箱のようなケースに並べるので、開けるときは撮影チャンスです。

tartotteのマネージャー:
「連日、昼過ぎとか夕方には完売しています。自分へのご褒美だったりとか、お友達へのお土産だったりとかが多いですね」

 駅の近くということもあり、手軽に買えるご褒美として人気のようです。

矢作地所の担当者:
「ちょっと行ってみようと思える、皆さんに寄り添った施設になるといいなと思っています」

■歴史ある公園もニーズが多様化…「ツルマガーデン」誕生の経緯は

 オープンから1週間、滑り出しは好調ですが、公園全体の客足もコロナ前と比べても多くなっているようだといいます。

緑化センターの所長:
「最近の公園の課題としましては、バリアフリーや設備の老朽化ですとか、それに加えてご利用する皆さんへの飲食サービスが少し課題になっていたんです」

 鶴舞公園は、名古屋市が明治42年(1909年)に設置した最初の公園です。近代的な庭園を目指しながらも、伝統的な日本庭園を取り込む和洋折衷なつくりを意識し、日本庭園に茶店や売店を設けていました。

 しかし、次第に公園のニーズが多様化し、飲食店のバリエーションを増やしてほしいという声が多く上がるように。

 名古屋市では平成24年(2012年)、公園経営に関する方針を出して、市内の公園の見直しが始まり「ニーズに合わせた飲食サービスを」とツルマガーデンを作ることで解決したということです。

 “名古屋の誇りとしてあり続ける憩いの場”であるよう、2年前にプロジェクトが立ち上がり、今回のリニューアルに至りました。

 飲食店の設置により公園は活性化していて、今後のさらなる盛り上がりが期待されます。

緑化センターの所長:
「飲食をきっかけに、公園の中にはきれいな花も咲いておりますし、歴史的な建物もございます。公園自体の楽しみ方が広がったかと思いますので、ぜひ飲食だけでなく、公園全体を楽しんでいただきたいなと思います」