岐阜市で19日、長良川鵜飼の観覧船が流されて乗客2人がケガをする事故がありました。伝統の鵜飼で、その時何が起きたのでしょうか。

(リポート)
「今日の鵜飼の観覧船の運航は中止となり、たくさんの船が止まっている状態です。おととい流されたのが、こちらの『篝火丸』です。真ん中の柱が根元から折れているのが確認できます」

 19日に突風で流され、乗客2人がケガをした観覧船「篝火丸」は、柱が折れたままです。

 長良川鵜飼は、21日も観覧船の運航は中止し、鵜飼の様子を川岸から見学できるのみとなりました。

 事故があったのは19日夜です。午後7時半から、30隻の船が長良橋の上流で鵜飼を行っていました。午後8時頃の河川カメラの映像では、激しい雨が降り木が激しく揺れるなど、天候が急変したことが分かります。

【動画で見る】“ゲリラ豪雨”に突風…長良川鵜飼で観覧船3隻が下流に流され乗客2人がケガ 天気急変で中止の事前判断できず

 突然のゲリラ豪雨で強い風が吹き、3隻の観覧船が長良橋を越えて下流に流されました。

 さらに1隻は下流の金華橋の先まで流され、この船に乗っていた40代の夫婦とみられる乗客2人がケガをしました。

 20日に会見を行った岐阜市の担当者は…。

岐阜市鵜飼観覧船事務所の担当者:
「いわゆる操船ミスで座礁したのではないと認識しております。ものすごい突風が吹いたと聞いております。風が原因かなと考えています」

 岐阜県内は19日、大気が不安定で夕方から局地的にゲリラ豪雨となり、岐阜市を含む美濃地方に、午後5時前から竜巻注意情報が出されていました。

近くの土産物店の店主:
「急にバーッと雨が降って、それがだいぶ続きましたから。風はあるし、こんなに降ったら(鵜飼観覧の)お客さんみんな大変やろうねって言ってたんですけど」

 当日、別の船を担当していたというベテランの船頭は…。

別の船の船頭:
「天候が急変しただけ。風も雨も強まって、船頭が操船できんくなってまった。あの風では無理」

 事前に中止の判断ができなかったのでしょうか。

岐阜市鵜飼観覧船事務所の担当者:
「当初私どもが見ていた予測だと、雨雲は東南側に流れるというか。それが徐々に岐阜市の方に寄ってきた」

 レーダーを見ると、午後6時には郡上付近にあった雨雲が次第に南下しています。

 午後8時には、鵜飼が行われていた岐阜市周辺が赤く覆われていました。

 鵜飼を行う際の判断基準としているのが長良川の水位で、水位計が16.15mを越えれば中止の基準を満たしますが、運行開始時点では15.2mだったとしています。

 上流の雨や水位も判断の材料としていますが、水位を観測しているのは1カ所だけだということです。

 1300年以上の歴史を持つ長良川の鵜飼。コロナ禍から客足が戻りつつある中、「ゲリラ豪雨」という新たな問題に直面しています。