SNSで知り合った知人から、投資を持ち掛けられる詐欺事件が最近増えています。被害者にあった50代の男性が、その手口を語りました。男性は金融機関での勤務経験もあったということです。

 岐阜県内に住む50代の男性が2023年、SNSで知り合った女性から勧められたFX取引の資金などとして、約3000万円をだまし取られたといいます。

被害に遭った男性:
「すごく巧妙だったんです。投資会社のホームページを丸々まねていたり」

 女性との出会いは、趣味を投稿していたインスタグラムに届いた1通のダイレクトメールでした。

被害に遭った男性:
「50代なので『定年した後の展望はありますか?』というような話になったり、『今の世の中の経済状況をどう思いますか?』というようなところから『不安を感じてないですか?』とか、そんなような話になっていきました」

 その後、LINEでやり取りするようになると女性からメッセージが送られてきたといいます。

<女性からのメッセージ>
「前に韓国旅行に行った時に水族館で撮った写真ですね。今年はドバイや砂漠旅行にも行きましたよ」

【動画で見る】金融機関で勤務歴あっても被害…SNSで知り合い投資詐欺に 約3千万円騙し取られる 被害者が明かす手口

被害に遭った男性:
「『将来的な資金があれば、こういう生活もできるよ』みたいなことを言われた」

 さらに…。

<女性からのメッセージ>
「取引で得られた利益は自分の元金を増やすこともできる。今のチャンスはだいたい2カ月ぐらいか利益を得る時間しかありません」

被害に遭った男性:
「実際にある会社を提示されて、信頼度が高いというところで一つ安心したと」

 金融業界に勤めたこともある男性。送られてくる資料などを見て信用し、貯めていた資金でFX投資を申し込んだといいます。

被害に遭った男性:
「一番最初の時に20万円ぐらいからだったんですけども、それに対して1回取引をした時に『1万5000円ぐらいの利益が出たよ』ということで、それは向こうから振り込まれています。たぶんそれで『ちゃんと出せる』と信用させるためだったんじゃないかなと思います」

 当初は利益が振り込まれたことから「いつでも引き出せる」と安心し、男性は投資を拡大していきました。

 ところが…。

被害に遭った男性:
「海外なので利率も高いということで、最低金額(1500万円枠)を申し込んだところ『その契約がいっぱいで、高額の、ワンランク上(2500万円枠)になりました』という案内が来て。『そんなのは聞いていない』と先方に送ったんですけど、『今から解約はできません。もしお金が入らなければ、全ての資金を凍結します』みたいな案内が来て、凍結されたら困るという不安の方が大きいですよね。なんとか資金をかき集めて入れてしまった」

 既に2000万円近く振り込んだ資金が凍結されてしまうと不安を煽られ、さらに振り込んでしまった男性。結局2カ月足らずで約3000万円が消えていました。

被害に遭った男性:
「税金のような名目で払わされて、『審査があります』みたいなことでさらにお金を要求されたので、これは明らかにおかしいと思って警察に相談しました」

 岐阜県警によると、こうしたSNSを悪用した投資詐欺は40代から60代が被害の中心で、2023年の1年間で13億8700万円の被害が確認されています。

被害に遭った男性:
「本当に冷静になって振り返れば、振り込みする時に投資会社の口座に振り込むのが普通だと思うんですけれども、今思えば全部個人名義の口座だったので、普通の会社ではありえない。眠れない日々が何日か続きました。不安に感じたら、すぐ警察に相談された方がいいと思います」

 警察は、SNSは知らない人からのメッセージが届かないように設定し、面識ない人からの投資話は詐欺を疑って家族や警察に相談するように呼び掛けています。