- 最初に「ウツボカズラの夢」の内容を聞き、どう思いましたか?
- まず『オトナの土ドラ』という大人の方に向けての枠で主演をさせていただくことに、『私もそういう年齢になったんだ』と実感しました。ドラマの内容は衝撃的でした。決まってから撮影まで間があったので、この作品のことを考えるのはもう少し後にしよう、と思ったほどです(笑)。これまでの役は、未芙由のような状況に置かれても正義感が強く、恵まれない環境の中でも正しい道を突き進もうとするキャラクターが多かったので、周りを陥れてのし上がっていこうとする未芙由という役は私にとって、まさに新たな挑戦でした。
- 台本を読んでの感想は?
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最初は、未芙由のことを“悪女”だと思っていました。でも、そうではないんだなと。それまで狭い世界で暮らしていた女の子が追い出されるように上京して、自分の居場所を何とか作ろうと頑張る話だったので、意外な驚きがあったというか…。未芙由は、東京で生きていくためには、自分を守るために、どうしてもしたたかになるしかないときもあって…。その姿が他人には酷く映るのであって、決して意地悪な人間ではないと思いました。
- 未芙由は尚子を始め、鹿島田家の人々に出会い、様々な行動を起こします。そこに悪意はない、と。
- そもそも悪いことをしようなんて、考えてもいないんです。どうしたら、鹿島田家にいられるか、それだけを思っての行動です。結果論として、それは悪いことではあるし、未芙由自身、良い行動だとは思っていないでしょうが、『そうしないとここで生きていけない』という気持ちのほうが大きいんだと思います。
- 未芙由は鹿島田家の人々の“ウィークポイント”をうまく見つけ、あからさまでないやり方で突いていきます。人の弱点を見つける嗅覚に優れているのでしょうか?
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お母さんの影響が大きいんじゃないでしょうか。未芙由のお母さんは、真っ直ぐ精一杯生きていれば幸せになれる、と思っているタイプで、でも未芙由には、そういうお母さんが幸せには見えなかった。だから、私はお母さんみたいにはならないという思いが強いのと、鹿島田家の人たちって、なんだか隙だらけなんです。どこか欠けている人たちの集まりというか…。だから、『ここでこう動けば、私の立場が良くなるかも』と考えて、いろいろ画策するんだと思います。
- ある意味、未芙由も追い詰められているのかもしれないですね。
- 根底にあるのは、“必要とされたい”“ここを失うわけにはいかない”ですから。私は未芙由のそういう気持ちが純粋にすら思います。行動と気持ちが矛盾しているように見えるかもしれませんが、決して『弱みを握った、ニヤ』ではないです。
- 志田さんは未芙由のどんなところを大切に演じたいと思っていますか?
- まずは普通っぽさです。未芙由はこれといった特技も才能もないので。最初は邪心なんてまったくない未芙由が東京での暮らしの中で、こんな風に変わってしまうんだ、という驚きの過程を演じたいです。私自身、未芙由がどこまで“やらかすのか!?”楽しみにしています(笑)
- 志田さんは未芙由の行動や気持ちが分かりますか?
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ありがたいことに、私は未芙由のように切羽詰まった状況に置かれたことがありません。私なりに、少し先のことを見つめ、考えてきたつもりですが、未芙由はいまこの事態を何とか好転させなければ、の連続で…。それはとても大変なことだと理解できますが…
- 視聴者の皆さんにはこの作品のどんなところを楽しんでほしいですか?
- それぞれに格差があったり、闇を抱えていたりと、ドラマの中にはいろいろなタイプの女性が登場します。未芙由が周りの人たちとの格差をどう埋めるのか、その奮闘ぶりをぜひ見ていただきたいです。未芙由は表面的には幸せに見えるけれど、実は中身が全っく然ない人たちをたくさん見ていきます。ドラマを観てくださった方々が『生きていく上で大切なことって何だろう?』、『幸せって何だろう?』と思わず考えてしまうような作品にもしていきたいです。
- では、志田さんにとっての幸せとは?
- 自分を飾ることなくさらけだせる人たち、家族だったり、友達だったり。そういう人と会っているときがかけがえないし、そういう時間を持てることが幸せです。
- ところで志田さんは「オトナの土ドラ」において、最年少主演になります。未芙由も新たな役柄への挑戦とのことで、いろいろ思うことがあるのではないでしょうか。
- 演じられる役の幅が広がっていることは感じています。今回も、未芙由という役を通し、いろいろなことにチャレンジしたいです。未芙由は18歳ですが、18歳の自分では決して演じられる役ではありません。いまの私だからこそ、表現できるものがあると思っています。
- 最後に、志田さんにも“ウツボカズラ女”の要素はありますか?
- ゼロだと思いたいです(笑)。でも、ウツボカズラなところって、誰もに無意識にあるもののような気がします。とは言え、私は違うって思いたいです。ゼロです、ありませんと(笑)