- まさか、はるかが東京に現れました。
- 未芙由が東京で頼った親戚がお金持ちらしいと知って、“気になる”ぐらいの気持ちで未芙由を訪ねたのだと思います。それで未芙由の暮らしぶりを目の当たりにして、自分も一歩間違えれば未芙由みたいになれたかもしれないし、未芙由が住んでいるのだから私も、という気持ちで居座ったのだと思います。
- 実は原作の小説では、はるかはドラマほど登場しないそうですね。
- 私も小説を読みました。はるかにはセリフもなかったので、第3話の台本のラストシーンに、『来ちゃった!』ってどういうこと!?と私自身がまず驚きました(笑)。最初にいただいたドラマの資料に、はるかは妊娠をきっかけに妻の座を射止めた地味女、と書かれていたんです。台本を読んだときも、はるかって多くを望まない人かと思ったんですが、衣装合わせでアロハシャツにショートパンツが出てきて、『地味な人がこんな格好をするはずがない』と(笑)。東京の場面でもレモン柄のパンツだったので、こんな柄物を好む人が大人しくて地味なわけない、と確信しました。
- ご自身が当初、考えていたよりはるかのキャラクターが膨らんだのですね。
- はるかを知れば知るほど、私の中でどんどん変化していきました。スタッフさんからも、『はるかがどんどん自由になっている気がする。もしかしたらこのドラマの中ではるかが一番自分に素直な女性かも』と言われ、なるほどと思いました。
- スタッフさんと言えば、第1話のはるかが未芙由の前に立ちはだかる場面の撮影で、皆さん「はるかが怖すぎる」と言っていましたね(笑)。
- あの場面を撮ったときは、はるかが今後、どんな風に動くかまだ分からなかったので、あまり考えずにスッと未芙由ちゃんの前に現れたんです。それなのに、スタッフさんたちから怖いと言われるなんて、私、大丈夫ですかね(笑)。
- 玄理さんははるかのどんな面を大切に演じていますか?
- 最初からブレないようにしているのは、悪意がないのに嫌な女でいること(笑)。はるかって、単純に幸せになりたい人だと思います。自分ひとりで生きていく術がないから、はるかにとっての幸せは養ってくれたり、いまより少しでも良い生活に導いてくれたりする人とめぐり会うこと。そのためにもはるかは彼女なりのやり方で“ウツボカズラ女”になる必要があったんですよね。
- 第3話ではるかが未芙由に、決して恨みはないと言いました。あの言葉は本心なのでしょうか?
- 本心だと思います。今後も未芙由ちゃんが東京にいるなら取り込んでおきたい、という裏心もあると思いますけど、はるかは未芙由ちゃんを嫌いではなくて、自分の幸せの実現を邪魔する存在を排除したいだけで。一方で未芙由ちゃんははるかのことを大嫌いだと思います。ところが、(本作の)プロデューサーさんから撮影に入る前、『未芙由にウツボカズラ女の存在を植え付けるのも、参考にするのも憎んでいるはずのはるかではないか』との言葉をいただいたんです。実際、はるかも未芙由ちゃんも、悪気はないけれど悪意があるのは一緒でした(笑)。意外とこのふたりには共通点がある気がします。
- 玄理さんは“ウツボカズラ女”ってどう思いますか?
- 幸せになりたい欲求は人間としてあたり前のもので、そのためにどんな手段を選ぶかはその人次第。何かを学んで資格を取る人もいれば、条件の良い相手を見つけ、結婚する人もいると思います。だから、ウツボカズラのように生きることを否定はしないです。それにはるかを演じている以上、私がまず彼女の理解者でありたいと思っているので。
- ご自身に“ウツボカズラ女”の要素はないですか?
- 誰だってウツボカズラ女になる可能性はあると思います。今の時代は女性だけでなく、男性だって“ウツボカズラ男”になってしまうこともあるでしょうし。私自身はそうなるのは嫌だから、自分にできることは頑張ろう、という気持ちでいます。
- 最後に、今後の目標などあれば教えてください。
- (幸司役の)春田さんが、私がこれまでどんな活動をしてきたのか気になってプロフィールを調べてくださったそうです。はるかを飄々と演じているのがいいともおっしゃっていただき、すごくありがたかったです。はるかは、こういう感情もあり得るかも、との思いで演じた役です。それをおもしろいと言ってもらえて、すごくうれしかったです。今後もはるかのような面白みを見出せる役にどんどん出会いたいですし、そういう役を演じる姿を見てみたいと思われる女優でありたいです。