ドラマは毎話、未芙由を取り巻く人々が、「未芙由って…」と自分なりに知っている未芙由のことを語るところから始まります。どの意見も、おもしろいほどにバラバラ。皆の発言を聞くたび、未芙由がどんな女性か分からなくなってくるほどです。
ドラマも終盤。未芙由を理解すべく、第6話まで、誰が何を語ったのか集めてみました。
第1話:証言者・斉藤幸恵(未芙由の母)
「わたしが知っている未芙由はね、目立たなくて頑張り屋さんで、いつもみんなのことを気に気を配っている。何があっても我慢強くて、不満を言わない」
――母親から見た娘は本当に健気で純真。しかしアルバイト先のブティックで、商品を横流している同僚のことを上司に報告したり(=目立たなくて頑張り屋さん)、鹿島田家で皆のことを観察したり(=みんなのことを気に気を配っている)…。確かに幸恵の言うことは間違ってはいない。とはいえ行動の数々に怖さを感じさせるのも事実。
第2話:証言者・鹿島田尚子(未芙由の東京での親代わり)
「わたしが知っている未芙由はね、普通の女の子。わたしたちが高校生だったときとそんなに違わない。流行とかよく知らないし。見ているとほっとする。今の子、自分の娘だってよく分からないこともあるんだから。普通っていいことよね」
――尚子は未芙由について語るとき、“普通”という言葉を2回も使用。あか抜けない服装、周囲への委縮した態度。それは人を安心させ、ときに自分が守ってあげたいと思わせるもの。しかし、尚子が見ているのは未芙由の表面的なものばかり。
第3話:証言者・鹿島田美緒(未芙由の親戚)
「わたしが知っている未芙由はね、地味で目立たない田舎の子。料理をしたり、掃除をしたり、お手伝いさんみたない感じかな。ママは重宝がってるみたいだけど、わたしは特に興味ない」
――この時点で美緒は、未芙由のことを自分の人生において何の影響も及ぼさない存在と思っているはず。しかし、尚子たちに妊娠のことが発覚して以降、自分がどれだけ未芙由の言うことに左右されているか気づけば、未芙由が一筋縄でいかないことが分かりそうなものなのに…。
第4話:証言者・斉藤はるか(未芙由の継母)
「わたしが知っている未芙由はね、お父さんが大好きで、甘えてて、だから反抗しちゃうような子。そういうところはまだ子供みたいで、かわいいな、純粋なんだなーって思うんです」
――未芙由実が家で暮らしていた頃、はるかのことで父親の幸司に文句を言おうとすることが多々あったもの。そのたびに、どこからともなく現れては、能面のような冷たい表情で未芙由を見下ろしていたはるか。その裏で、義理の娘をかわいいと思っているようには到底見えなかったが…。
第5話:証言者・鹿島田雄太郎(未芙由の東京での保護者?)
「俺が知っている未芙由はね、世間知らずだし、世の中のこともよく分かってない。田舎の狭い世界で平凡に育った子だからね。無知というか、あれで構わないって子なんだろう。これから、社会を導いていかなきゃいけない隆平とか、留学して新しい世界を見に行く美緒とかとは同じじゃない。まあ、彼女はそもそも、東京と合わなかったんだろうな」
――世間知らずで世の中を分かっていないなら、雄太郎の机の引き出しを開けただけで、愛人へのプレゼントに気づくものか?無知で構わないなら、鹿島田家の人々の抱える問題をすぐ察知するものなのか?ぜひ、雄太郎に聞きたいところ。雄太郎と尚子、どちらが未芙由のことを分かっているのか、分かっていないのか。もしかしたら、ふたりともまったく分かっていないのかも!?
第6話:証言者・福本仁美(未芙由の敵であり、味方)
「わたしが知っている未芙由はね、田舎の純朴な子で、目立たなくて、フツーの子で、純粋で、世間知らずで…ってみんなに誤解されているような子」
――仁美は“誤解”という言葉で、未芙由のことを皆が見くびっていることを指摘。確かに未芙由が故意的にそう思わせようとしたことはなく、あくまで周りの人々が勝手に思い違いをして、それを否定していないだけ。未芙由がそんな行動を取れる才能をなぜ持ち合わせているのか。今後、明らかになるときは来るのか?
6人の語る未芙由は無垢にも見えれば、策士にも見える不思議な存在。物語は残りあと2話。今後は誰がどのように未芙由を語るのでしょうか。全話を通し、視聴者の皆さんが感じた“未芙由像”こそ、本当の未芙由の姿のはずです。ぜひ、その目で真の未芙由と出会ってください。


