インタビュー

羽田美智子さん(神楽奈緒子役)

女優を始めて22になるという羽田さん。今回初めて昼ドラに出演しますが、この作品との出合いを“ご褒美”と語ってくれました。

――奈緒子を演じての感想を聞かせてください。
「奈緒子ってめげないですよね。何があっても。力強く進む道を切り開いていくからすごいな~って思ってます。また奈緒子は、いろいろな出会いや出来事を通し、金沢の伝統や風習と向き合うことになりますが、そこには30代、40代の人たちが、その一つ上の世代の方たちから受け継ぎ、さらに下の世代に繋げていかなくてはいけないものがたくさん詰まっていると思います。奈緒子を演じていると、『私たちが守っていかなきゃいけないんだ』と思うし、この役を通し、生きていく上でのヒントをたくさんもらっている気がしています」
――奈緒子がやがて目指すことになる、旅館の女将という仕事にはどんなイメージを持っていますか?
「金沢などにロケに行った際、和倉温泉にある『加賀屋』さんの女将さんにいろいろお話しを聞いたんです。本当に大変な仕事だと思いましたね。あと、女将にしても、私の仕事である女優にしても“女”の付く職業って、実は男性の部分を持たないとやっていけないですよね。体力的にも精神的にもすごく厳しいときがありますから」
――本作のどんなところに魅力を感じていますか?
「まず、人と人の繋がりがとてもおもしろく描かれています。金沢の風習もとても興味深いと思いますよ。プロデューサーを始め、番組スタッフが“ホームドラマ”を作りたい! という想いを込めた作品にふさわしく、いろんな世代の魅力的な人物が登場しますし、作風はどこかホッとする懐かしさを感じさせるものです。観ていただければ、きっと明日も頑張ろう! と思っていただけるはずです」
――会見でもお話ししていましたが、羽田さんが本作への出演を決めたのは、野際さんの存在が大きかったとか。
「プロデューサーと最初にお会いしたとき、『野際さんもぜひご一緒にと言ってました』と言われ、これはもううなずくしかないですよね(笑)。野際さんは10年ほど前にドラマで共演させていただき、以来お付き合いが途切れなかったんです。野際さんとはお互いの誕生日に、ずっとプレゼントを交換しあってきましたが、そんなことをさせていただいている方は他にいませんから。私にとって芸能界の父は伊東四郎さんで母は野際さんなんです。私は、お二人のためならやれることは頑張りたい、という気持ちなんです」
――野際さんと嫁姑の“バトル”を繰り広げる意気込みは?
「演じてみて、私は奈緒子って、きっと志乃さんのことが本能で好きなんじゃないか、と思ってます。セリフでは『怖い』とか『ひえ~』とか言ってるんですけど、どこか懐いているような気がしていて。多分奈緒子は志乃さんを、側にいてプラスになる人だと分っているんですよ。自分を育ててくれる人だと感じているから、認めてほしくていろんなことを頑張るんですよね。だから普通の“嫁姑バトル”という風にはならないと思います。私としては、奈緒子と志乃さんを通し、血の繋がりのない二人が親子になっていく過程を野際さんとおもしろく演じられたら、とも思っています」
――初めての出演となる昼ドラの感想は?
「ここまで演技の世界で頑張ってきたことが、この作品への出演に繋がっている気がしています。私はデビューしてすぐ、映画で主演をやらせてもいただきましたが、主演だけでなく助演もしっかりできる女優になりたい、と思い、そこから脇役でいろいろなキャラクターに挑戦してきました。自分なりに『主演、脇役と関係なく、それぞれの役柄を何とか演じられるようになったかな』と最近思えるようになったんですけど、こうしてまた主演をやらせていただけることは、ここまで頑張ってきたことが報われたと思っています。だからどんなにハードな撮影でも根はあげない覚悟で臨んでいます。撮影は確かにハードですよ(笑)。でもこの作品を乗り越えたら、きっと新しい扉が開ける気がしています」
――奈緒子が志乃のもとで暮らす覚悟を決めたように、羽田さんも覚悟を決めたんですね。
「“覚悟”ってとてもいいものですね。一度心が決まると、人はどんなことも受け入れられますから。私は前から、どんなに辛い状況でも、笑っていられる人になりたい、という目標があって、陰では苦労や悲しいことがあってもそれをおくびにも出さす、笑っていられる人って素敵だと思うんです。今回、どんなに大変なスケジュールでも笑っていられたらいいな、と思ってます」
――今の段階では実現できてますか?
「6割ぐらい(笑)。つい『セリフが入らなくて』とか『辛いです』とか野際さんや共演者の皆さんにこぼしたくなるんですよ。撮影もそろそろ折り返しなんですけど、今後は愚痴はこぼすまい、と決めています」
――会見で羽田さんは“花嫁のれん”ならぬ“昼ドラのれん”をくぐります、とおっしゃってましたが、本家、花嫁のれんについてはどう思いますか?
「怖いですね~(笑)。今、それだけの覚悟を持って結婚する方ってどれくらいいるんでしょうか? そもそも結婚って、それだけの気持ちでするものだろうな、と台本を読んでつくづく思っています。これまでの人生を背負い、決意を持って花嫁のれんをくぐることが出来たら、それはすごく素敵なことだとは思いますよ」
――ご自身が結婚するときは花嫁のれんを持っていきますか?
「いいですね。相手が金沢の人でなくても持っていったりして(笑)」
――結婚相手として宗佑のような男性はどう思いますか?
「20代だったら、相手の地位とか財産とかで結婚相手を決めてしまう人もいるかもしれませんよね。でも30代、40代で結婚するとしたら、相手に求めるものってそれだけじゃない気がして。私は、一緒に暮らしてもそれぞれの領域を尊重しつつ、楽しくいられるような人がいいですけど、そう考えたとき、宗佑みたいな人は理想的じゃないですか。でもきっと20代だったら宗佑みたないタイプは結婚相手として選ばないでしょうけど(笑)」
――放送が始まりましたが、改めて冒頭のみどころを教えてください。
「奈緒子からすれば、ドラマの始まったところはまさに人生のどん底。夫は借金を残して蒸発するし、会社は倒産するし。さあ、どうしましょうってときにあろうことか姑のところに飛び込みますが、奈緒子の突拍子もないところをぜひ楽しんでご覧ください」