逝ってしまった恋人の魂が、別の人間の身体に宿るという奇蹟、そして決して見る事のできないその魂を愛し抜こうとする主人公のはかなくも切ないラブファンタジー。
大手レコード会社の宣伝部で働く直は、ある夜、流れてくる美しいピアノ曲「青の月」に聴き入り、目に涙を浮かべる。そんな直に、音楽ディレクターの浩志は冷ややかな目を向ける。直と浩志の運命的な出会いだった。恋に落ちた直は、一年後、浩志に誘われて二人で新しいレコード会社を立ち上げる。二人の心を結びつけた謎のピアニスト・ゼノのアルバム「青の月」を発売。二人の愛が深まっていく。
クリスマスの日。直も正体を知らされていないゼノのコンサートが開催される。コンサートが成功したら結婚しよう──と約束する直と浩志。が、コンサート会場に向かう途中、浩志が交通事故に遭い意識不明に……。
一方、浩志と同じ病院で意識不明の20歳の青年・健が奇蹟的に目を覚ます。「俺は健じゃない、浩志だ」と呟く健の身体には、亡くなった浩志の魂が宿っていたのだ。ある日、直のマンションに健が突然現れる。直は、浩志の記憶を持つ見知らぬ青年の健に驚くが・・・。
「愛」とは肉体に宿るのか、それとも心に宿るのか・・・人間の生死を越えた決して成就することのない「愛」・・・。はたして二人の「愛」に奇蹟は起こるのか?