三重県の鈴木英敬知事は5日、次の衆院選で三重4区から出馬する意向を正式に表明しました。任期を1年7カ月残して知事を辞職することにもなり、県民からはコロナ対策などへの不安の声が上がっています。

 5日朝、県議会の議長室を訪ねた鈴木知事。手渡した封筒には「退職申出書」の文字が…。

鈴木三重県知事:
「この秋にも行われます衆議院選挙に三重4区から立候補することの挑戦をしたい。今回の決断にあたりましては、悩みに悩みに悩みました」

 辞職願の提出から30分後、次の衆院選に三重4区で自民党公認での出馬を目指すことを正式に表明しました。

鈴木知事:
「5月に三ツ矢先生がご勇退をご公表されてから、コロナで共に戦ってきた首長の皆さん、伊勢市長や鳥羽市長や志摩市長、多気町長などから要請をいただいた」

 三重4区をめぐっては今年5月、衆議院議員を6期務めた三ツ矢憲生議員(70)が持病の悪化を理由に今期限りでの引退を表明しました。秋に迫る衆院選で自民党が鈴木知事の擁立を進める中、経済団体や4区の市町からも出馬を要請されていたといいます。

 三重県でも感染が拡大傾向にある中、県のトップが1年7カ月任期を残して国政に転じる決断をしたことに、県民からは…。

県民の男性:
「任期まではやっていただきたかったという気持ちはあります。今コロナという関係もありますし、国体も控えているということで、その辺をきちっとやられてからの方が良かったのかなと」

女性:
「ご本人さんが頑張っていただけるなら、きちっとけじめをしていただいて」

男性:
「国政に出て、三重県に何か還元するような運動をされるのであれば、いいんじゃないかと思いますけど」

 県民からは否定的な声も上がりましたが、鈴木知事は9月12日投開票で調整が進む知事選の日程に合わせ辞職することで、コロナ対策などに「空白を作らない」と強調しました。

鈴木知事:
「後に振り替えれば『あの時の判断は間違ってなかったね』と県民の皆さんに実感していただけるように真摯に謙虚に努力を積み重ねてまいりたい」

 衆院選・三重4区ではこれまでに、立憲民主党の新人で元三重テレビアナウンサーの坊農秀治さん(49)と、共産党の元津市議の中川民英さん(53)が立候補を表明しています。

 知事選では与野党が後継として擁立をする元・国交省官僚で亀山市出身の一見勝之さん(58)が立候補する見通しで、共産党推薦の元県議・岡野恵美(69)さんが5日、出馬を表明しています。