イギリスの君主として歴代最長となる70年にわたって在位してきたエリザベス女王が、8日亡くなりました。96歳の生涯の中で、47年前に三重県の伊勢志摩を訪れていました。

 滞在していたスコットランド・バルモラル城で亡くなったエリザベス女王。

 女王が来日したのは1975年5月。6日間の日程で一番最後に訪れたのは伊勢志摩でした。

 近鉄特急で五十鈴川駅に到着。乗っていたのは、新スナックカーの12200系。駅に到着した後、大勢の市民が旗を振って歓迎しました。その後、伊勢神宮の内宮に向かいました。

 エリザベス女王がこよなく愛したのは「真珠」のネックレス。鳥羽市へ向かった女王はミキモト真珠島を訪問。

松月館長:
「本当にオーラというんでしょうか、そういう雰囲気、威厳とも何とも言えない雰囲気が漂っていたように記憶しています」

 こう話すのは、ミキモト真珠島真珠博物館の松月清郎館長。エリザベス女王が訪問したときは新入社員でした。

松月館長:
「真珠がお好きだったと伺っています。英国王室代々伝わっていますから、それこそ名のある真珠がいくつもありますしね。常にネックレスやイヤリングをしておられるお姿は拝見しておりました」

 加工場を訪れた女王。その後披露されたのは5000本の真珠のネックレス。そして地元の海女の実演を見学しました。

 この日の水温は15度で、肌寒い中だったということで…。

松月館長:
「5月のことですからまだ水温が低いのでね、『寒いといけないから早くあげてやってください』というお言葉を頂いたと聞いています。唯一、海女さんの4代海女の一番下のかおりちゃんだったかな、彼女が花束をお渡しした。その時に確か『将来の海女』というプレートを胸から掛けていたと思うんですけど、それに微笑まれた」

 今も、エリザベス女王がご覧になった展示物があります。

松月館長:
「こちらに今展示してあるのが『御木本五重塔』と申しまして、大正15年に博覧会に出品するために作った。養殖真珠をたくさんばらまいてあるんですね。これは養殖でしかできないことなんです。天然の場合だと大きさ・形がそんなに揃っていない、だけど養殖はそれができるわけです。養殖真珠ならではの工芸品。養殖でなければできないという美しさは、女王陛下にとっても驚きだったかもしれませんね。」

 真珠を愛した女王。鳥羽で一泊した後、翌日に近鉄特急で名古屋へ。新幹線に乗り換えて東京に向かいました。

 伊勢志摩での2日間は、東海地方の人たちに多くの思い出を残しました。