2回のワクチン接種を完了した人が新型コロナを発症してしまう「ブレイクスルー感染」について、専門家に話を聞きました。

 7月、名古屋市が行った新型コロナのワクチン集団接種会場で、20代と70代の男性2人が接種後、会場で経過観察中に気分が悪くなり、救急搬送されました。(※20代男性は7月7日、70代男性は7月11日接種)

 どちらも「副反応の疑いがある」とみられていましたが、その後回復したということです。名古屋市のワクチン接種で副反応の疑いで救急搬送された人は、9人目となりました。

 7月15日時点の東海地方のワクチン接種率は以下の通りです。(※全年齢層)

愛知県 1回目:24.7% 2回目:15.9%
岐阜県 1回目:31.3% 2回目:20.6%
三重県 1回目:28.6% 2回目:18.1%

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 接種率は上がってきていますが、愛知県がんセンター病院の伊東先生によると、「ブレイクスルー感染」に注意が必要だということです。

 ブレイクスルー感染とは、2回のワクチン接種を完了したにもかかわらず新型コロナを発症してしまうことです。ワクチン接種という防壁を突破して感染してしまうことから、ブレイクスルー感染と呼ばれています。

 アメリカでは、2回接種した7700万人のうちおよそ5800人がコロナに感染、つまりブレイクスルー感染して、亡くなった方も74人という報告がありました。

 伊東先生によると、ブレイクスルー感染には次のような理由が考えられるといいます。

1.そもそもワクチンの効果は100%ではない
2.接種で獲得できる免疫の強さには個人差がある
3.十分な免疫が持続する期間が短い可能性がある
4.ウイルスが変異すると効果が落ちる恐れがある

 ただ、イスラエルで行われた研究では、ワクチンを接種して発症した場合、体内のウイルス量が少なくなることがわかっていて、周囲に感染が広がりにくいと考えられています。

 伊東先生は、「ワクチン接種の効果は十分あると言える。ただ接種が完了しても、引き続き感染対策をしてほしい」と話しています。