新型コロナワクチンの接種証明アプリの運用が始まり、お店で接種証明を提示することで特典が受けられるサービスも拡大しています。

 感染対策と経済活動の両立を目指した取り組みですが、オミクロン株の市中感染が確認される中、慎重な運用も必要と言えそうです。

 デジタル庁が開発した「ワクチン接種証明アプリ」は、接種した日付やワクチンの種類など、自分の接種情報がスマホに表示されます。

 緊急事態宣言などの際、飲食店や大規模イベントでの行動制限の緩和に活用されますが、宣言が出ていない今でもアプリを見せると特典が受けられるお店があります。

 名古屋市中区の居酒屋「道南農林水産部」。

マイナンバーカードが必要に…『新型コロナワクチン接種証明アプリ』運用開始 濃厚接触者の特定等の役にも

 お店の名物「いくらこぼれ飯」、通常は2189円しますが、接種証明を提示すると無料になります。

 ビールも中ジョッキ1杯と同じ値段で、2倍以上のサイズのメガジョッキにすることができます。

道南農林水産部の担当者:
「なかなかお客様の笑顔が見ることができない時期があったので、来ていただけるだけでもうれしいですね」

 サービスは1月末までで、それぞれ先着100人限定です。

 ビジネスホテルの「アパホテル」は全国すべてのホテルで、接種証明を提示するとチェックアウト時刻を正午まで延長できます。

 普段よりゆっくりくつろぐことができるうれしいサービスですが、こんな狙いも…。

アパホテルの支配人:
「チェックアウトのピーク時間をずらすことで、エレベーター等での感染拡大防止に繋がると考えまして、このような特典をご用意させていただきました。ワクチン接種をより多くのお客様に利用していただいて、お客様がより安心して安全に多くの方に旅行を楽しんでいただきたい」

 接種証明の提示で受けられるサービスは拡大していて、感染対策と並行して経済も回していこうという「ワクチン・検査パッケージ」の流れをくんだ取り組みですが、一方でオミクロン株の市中感染が22日に確認され感染拡大が心配な状況で、経済活動との両立はどう考えるべきなのか。

 感染症専門医で愛知県がんセンター病院の伊東直哉先生は「オミクロン株についてはまだよく分かっていないので、大きな懸念事項」と話します。

 理由については「どの変異株よりも感染の広がり方が早い」「再感染の増加=免疫を回避して感染する」としています。

 また「接種証明をもっているからといって、基本的な感染対策(マスク、手洗い)を疎かにしない。年末年始は会食の機会も多くなるが、黙食やマスク会食を徹底し、できる限り少人数で、長時間の会食を避けてほしい」と話しています。

 愛知県の大村知事は23日午後の会見で「緊張感をもって警戒していくが、合わせて社会経済活動を回し、オミクロンが広がっていって感染者が増え入院患者が増えれば規制強化する。規制をきつくしたりゆるめたりをしばらく繰り返してやっていかなければならない。感染の山を小さくするためにも、3回目のワクチン接種は急ぎたい」と説明しています。