人気ロックバンド・サカナクションのボーカル、山口一郎さんが、岐阜県下呂市の金山小学校の校歌を作曲し、話題となりました。調べてみると、ほかにも有名人が制作に関わった校歌がありました。

■サカナクションの山口一郎さんだけじゃない!多くの有名人が手掛ける校歌

<金山小学校の校歌>
「いにしえの岩屋岩蔭の 碧きふるさと山々の 胸に抱かれ われら時をつなぐ」

 岐阜県下呂市の金山(かなやま)小学校で生まれた新しい校歌。作曲は、人気ロックバンド・サカナクションのボーカル、山口一郎さん。作詞はお父さんの保さんです。

サカナクション山口さんが小学校の校歌を作曲 約3分のスローバラードに保護者感激「こんな田舎の学校に…」

 下呂市は去年2021年、4つの小学校が統合し、地元出身の保さんに校歌の制作を依頼し、実現しました。

 このほかにも有名人が作った校歌がないか調べてみると、大黒摩季さん、さだまさしさん、久石譲さん、つんく♂さん、小田和正さん、山口智充さんなど、錚々たるメンバーが作っていました。

 小田和正さんは2003年、神奈川県の横浜創学館高校の校歌を作っています。小田和正さんが横浜出身ということで、当時の校長が手紙を送って実現したといいます。

<遥かな想い 作詞・作曲:小田和正>
「この空 この風 抱かれて あなたは 繰り返し過ぎゆく日々 海の彼方 何を見つめていた」

 タイトルは「遥かな想い」。体育祭などの行事で歌うと、かなり盛り上がるそうです。

 大物アーティストだけあって、曲ができた当時は「本当に作ってくれたんですね」と信じていなかった人もいて、生徒よりも保護者の反響が大きかったといいます。

■校歌を覚えているか街で30人に聞きました!中には小学校~大学まで覚えている70代男性も

 みなさんは自分の学校の校歌を覚えていますか?街で30人に聞いてみました。

50代女性:「覚えていないです」

70代男性:「70歳になりますから、覚えていないですね」

20代男性:「だめだ、全然思い出せないです」

20代男性:「ひびに あらたに なっていく すずかの山も…みたいな。意外に歌えるんだなと、10年経っても」

20代女性:「まど まど まど~。卒業ぶりくらい」

70代男性:「小学校、中学校、高校、大学も半分くらい覚えています。(小学校校歌)歴史の都 姫路にも…。(中学校校歌)潮の香かおる南風に みのりゆたけき播磨野の…。同窓会で歌うことがありますね」

 30人中、歌えたのは17人でした。

■専門家に聞いた校歌の作り方!最近は多様化し、JーPOPやバンド調の校歌も

 校歌はどうやって作っているのか、これまで30曲の校歌を作ってきた音楽制作プロダクション「オクターブミュージック」副社長の瀬崎友希さんに伺いました。

 校歌を依頼されるのは、「新しくできた学校」「少子化で学校が合併した新設校」「軍歌調のメロディーを現代風にしたいといった“リアレンジ”」の3つのケースがあるといいます。

 校歌を作る際は、まず学校や生徒、教育委員会などにどんな曲にしたいかヒアリングをします。

 作詞面では、その土地でおなじみのものを押さえるのがポイントで、やはり山や川はよく登場するといいます。これは時が流れて再び校歌を歌うときに、ふるさとの土地の名前を歌うことに大きな意味があるということです。

 統廃合のときは各校の元々の校歌をバランスよくミックスし、学校はなくなっても校歌の歌詞できちんと受け継いでいくことを大切にしています。

 作曲に関しては、子供たちの年代に合わせて音域や曲調を決めています。例えば、小学生は声変わりする前なので高めの音域、高校生は低めの音域を意識するといったことです。学校行事などで子供が演奏する場合もあるので、比較的シンプルな伴奏に仕上げるよう意識しているそうです。

 予算は学校にもよりますが、だいたい50~300万円くらいだといいます。

 校歌は最近多様化が進んでいて、大まかに「ピアノで演奏される校歌」「吹奏楽や管弦楽で演奏される校歌」「JーPOPやバンド調の校歌」の3つに分けられると瀬崎さんは話します。

 JーPOPの校歌はあまり馴染みがないかもしれませんが、名古屋市東区にある至学館高校のポップス調の校歌は、2011年に野球部が甲子園への切符を手にしたときに合唱して話題となりました。タイトルは「夢追人」です。

<夢追人>
「一番高い所に登って 一番光る星を掴んだ 一番辛い道を選んで 一番強い心をまとった」

 この時は残念ながら甲子園では初戦敗退してしまいましたが、今の至学館高校の野球部員に聞いたところ、「コロナ禍で歌うことはできないが、甲子園で勝って夢追人を聞くのが夢です」と話していました。