コロナ禍で下火だったインフルエンザが、3年ぶりに「流行入り」しています。医療機関によってはコロナを上回る数の患者が確認されるようになる中、インフルエンザ拡大への備えも進められています。

(リポート)
「診察開始からまだ30分ほどしか経っていませんが、駐車場を見てみるとほぼ全て埋まっています」

 名古屋市の瑞穂区休日急病診療所には今年に入り、多い日は1日に90人ほどの患者が訪れるようになっていて、15日も発熱やのどの痛みを訴える人が建物の外で検査を受けていました。

 15日に訪れた患者は52人でした。これまでの中心だった新型コロナ患者は15人でしたが、それを上回ったのがインフルエンザ患者で、19人が陽性と判定されました。

瑞穂区休日急病診療所の石原所長:
「去年とか一昨年は、シーズンで休日診療所では1人か2人出るかどうかっていう感じでしたので、今年の増え方はちょっと想定していなかった」

 医師も「想定外」と話す、3年ぶりのインフルエンザ流行です。厚生労働省によると、1月8日までの1週間に全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、一医療機関当たり4.73人と、前の週の2倍以上に増加しています。

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 都道府県別でみると、1月1日までの1週間では、まだ流行入りの目安となる「1.0人」に達していない県もありましたが、次の1週間で山形県を除く46都道府県で流行入りしました。九州地方など、インフルエンザが猛威をふるっている地域もあります。

 診療所の医師は「制限のない年末年始」で、マスクを外して行動した人が増えたことが一因ではないかと推測します。

瑞穂区休日急病診療所の石原所長:
「インフルエンザに関しては、かなりマスクは効果があるのではないかなと思っています。しっかりと感染対策をできる範囲でいいのでやっていただけるとありがたいなと思います」

 名古屋の薬局では、インフルエンザの流行を見据えた備えが進んでいました。

大島薬局の管理薬剤師:
「こちらがコロナとインフルエンザ、同時に検査できる検査キットになります」

 新型コロナとインフルエンザの「同時検査キット」です。鼻の穴2センチほどの場所から検体を採取し、1度の検査でコロナとインフルエンザ両方の感染の有無を調べることができます。

 2022年11月に一般向けの販売が解禁されていましたが、インフルエンザの患者が増え始めたことから、2023年になって仕入れたと言います。

 店頭の目立つところにはインフルエンザ流行を見据えた準備グッズも用意されています。

大島薬局の管理薬剤師:
「家で消毒とか、熱さまシートですね。体を温める、免疫力をアップさせるためのものとか、栄養ドリンクとかも準備しておいてもらった方がいいかなと思って置いてあります」

 3年ぶりとなるインフルエンザの流行入りですが、コロナ禍で習得した基本的な感染対策がカギとなります。

大島薬局の管理薬剤師:
「手洗い・うがい・マスクですね、特に症状がある方のマスクが一番有効的だと思いますので、そちらを徹底していただけたらいいと思います」