愛知県岡崎市の中根康浩市長が、選挙で公約に掲げた「全市民への5万円給付」。18日に市議会で採決が行われましたが、反対多数で否決されました。

 中根市長誕生の原動力となった公約は、当選からわずか1か月で反故にされる形となりました。

 18日朝の岡崎市役所。一部の市民が横断幕を掲げ、中根市長の公約「全ての市民への一律5万円給付」に賛同する声を上げていました。

 そんな中始まった18日の岡崎市議会。「5万円給付」について、関連議案が再び審議されました。しかし…。

公明党の畑尻市議:
「今後の岡崎市民への影響の甚大さを考えると、とても賛成できるものではありません」

自民清風会の杉浦市議:
「この議案に反対とさせていただきます」

 議員からあがったのは、反対の声ばかりでした。

 およそ195億円もの財源が必要な「5万円給付事業」。財源確保のため市側が示した案は、市の貯金にあたる基金およそ80億円に加え、東岡崎駅周辺の再開発などのために積み立てた5つの基金をすべて取り崩すというもので、質疑でも疑問視する意見が相次ぎました。

自民清風会の杉浦市議:
「実施した場合の市民生活に及ぼす悪影響は、将来に渡って甚大であります」

 そしてついには、痛烈な市長批判も…。

会派「チャレンジ岡崎」の小田市議:
「新市長の公約といえども、このような議案のためにこの1ヶ月間を浪費したこと、そしてこれだけ多くの市職員の労力を本件に割いてしまったことは、この非常時において本末転倒であると思います」

 そして…。

鈴木議長:
「賛成の議員の起立を求めます。起立少数。よって本案は否決されました」

 賛成したのは市長選で中根市長を支援した共産党の2人だけで、議案は否決されました。

岡崎市民:
「なんかガッカリです。はっきり言って」

別の市民:
「人を騙すようなものでね。それを抱えてやるということは、あまり良くないと思います」

また別の市民:
「(基金を)取り崩してやるっていうでしょ、それは私は反対だわ。これからの市のためにね。(5万円給付は)いらない」

 議会後、取材に応じた中根市長は…。

中根市長:
「今回否決をされた理由等を、十分議事録などを見て精査吟味しながら、何か新たな提案をさせていただきたいという思いでおります」

Q.嘘つきだというような、かなり厳しい声もあがっていますが?

中根市長:
「その言葉は言葉として受け止めさせていただきますが、嘘をついているという思いはありません」