去年、三重県の英虞湾などで起きたアコヤガイの大量死。今年も稚貝に被害が出たことから、どうすれば大量死を防げるか、真珠養殖業者にむけた研究報告会が9日夜、三重県志摩市で開かれました。

 今年6月、英虞湾に浮かぶ養殖場。口が開いてしまった大量のアコヤガイ…。

養殖業者:
「(去年と比べて)ちょっと多い感じやなあ。去年よりもひどなるんと違うやろか?」

 去年発生したアコヤガイの大量死。今年も稚貝に被害が出ていて、来年の真珠生産に暗い影を落としています。

 こうした中、9日夜、真珠養殖業者に向けた三重県の報告会が開かれました。

三重県水産研究所の青木総括研究員:
「養殖環境を人の手でコントロールしていくというのは、非常に困難である」

 報告会ではこれまでの研究をもとに、貝を弱らせない飼育方法が紹介されましたが、大量死の原因については「プランクトンの減少で貝の栄養状態が悪いうえに、海水温の上昇で貝が弱った」との従来の報告を繰り返すにとどまりました。

 アコヤガイの大量死を巡っては、業界の垣根を越えた原因究明への取り組みも始まっています。

 漁業とは縁遠い鈴鹿工業高等専門学校は、海水や泥に含まれる元素を分析して、「化学の視点」から大量死の原因を探る研究を始めました。

鈴鹿工業高等専門学校の幸後講師:
「データをもとに、この事象に対しては元素の割合が増えたとか減ったとか、そういった議論ができるんじゃないかなということで。どのくらいの時間がかかるか分からないですけれども、継続的してやっていきたいと思っております」

 研究では、海水や海底の泥に含まれる元素の種類と濃度を分析。大量死との関係を調べることにしています。