自宅から外出するのが難しい介護度の高い高齢者。食事や入浴、トイレなどの介護などに目が行きがちですが、実は散髪も大きな悩みとなります。

 そこで利用されるのが、自宅に理容師や美容師を呼んで散髪してもらう訪問カットのサービスです。その利用料について、名古屋市が10月から補助を始めました。

 名古屋市緑区の高野史江さん(71)。今年5月に脳梗塞になってから自宅で寝たきりとなった、97歳の母・松島すゑさんの介護をしています。

 食事や着替え、入浴代わりの清拭など、生活全般を介護する高野さんですが、ある悩みが…。

高野さん:
「すごくおしゃれな人だったので、白髪になってから金髪にしてたり、いろいろカッコよくしてたんで。(髪が)こんなに伸びちゃった、切りたいよね」

 この5か月間、できずにいたのが散髪。そこで自宅に来てもらったのは、訪問カットの経験が豊富な美容師・近藤正樹さんです。

美容師の近藤さん:
「頭だけちょっとカットする時に、介助していただけると」

高野さん:
「訪問看護師さんにお願いしてあるので、大丈夫だと思います」

 早速、手際よく準備に取りかかります。介護度の高い人をカットする際には、その人に合わせた注意や経験が必要。実はそうした事情から引き受ける美容室などが少ないうえ、訪問のため料金はどうしても割高に。8000円ほどかかる場合もあります。

 そこで名古屋市では、10月から費用を補助する制度をスタート。区役所で「利用券」を発行してもらえば、自己負担2000円で利用できるようになりました。

高野さん:
「理美容の派遣の方にちゃんとやっていただける、しかも補助が出るってケアマネージャーさんに教えていただいて、これは良いわってすぐに」

 カットは15分ほどで無事に終了。5か月ぶりの散髪に、すゑさんも気持ち良さそうです。

高野さん:
「お疲れ様でした。嬉しいわ、きれいになって。ずっと気になりながらね、来てくれるところがなくて。(すゑさんに向けて)きれいになったよ、良かったね。美人さんになりました。またカットしてもらおうね、よろしくお願いしますだね」