岐阜県の古田知事が20日、来年1月の知事選に5選を目指し出馬する意向を正式に表明しました。

 しかし、過去4回の知事選で古田知事を推薦してきた自民党岐阜県連では、国会議員が知事を支持する一方で、多くの県議が新たに官僚の擁立に動いています。半世紀ぶりの保守分裂選挙となるのでしょうか。

古田知事:
「本格的な第3波の到来が強く懸念される。中途で終わるのではなく、引き続き取り組んでいきたいと出馬を決意させていただいた」

 来年1月の知事選への出馬を正式に表明した古田知事。

「初心に立ち返って5選を目指したい」と、県政史上最長となる5期目への挑戦に向けた決意を語りました。

 岐阜市出身の古田知事。梶原拓前知事からの後継指名を受け、経済産業省を退官後、2005年に初当選。過去4度の知事選では自民党岐阜県連をはじめ各業界団体の推薦を受け、盤石の選挙戦を進めてきました。

 しかし、今回は様子が違うようです。

古田知事:
「議会の先生方からは、議会とのコミュニケーションについてずいぶん(指摘が)ありました」

 これまで二人三脚で選挙戦を乗り越えてきた古田知事と、自民党県議団の間で隙間風が吹いています。

自民党岐阜県連の猫田会長代行:
「我々がそばにいるので、初めから出たいなら出たいで相談があってしかるべきなのが、全然無いというのは全くおかしい。これが根底にあるわけで、我々もだいぶ怒り心頭にきている」

「怒り心頭」と古田知事への不満を口にするのは、自民党岐阜県連の重鎮で会長代行を務める猫田孝県議。

 複数の県議や関係者への取材によりますと、実は今回、自民党の多くの県議はコミュニケーション不足などを理由に、古田知事ではなく新人の擁立を模索。

 これに対し古田知事は県議ではなく、野田聖子衆院議員ら国会議員らに素早く接触して、続投への支持を取り付けました。これは県議団にとって面白いことではありません。

Q.分裂の可能性も高くなってきた?

猫田会長代行:
「なんとも言えんけど、国会議員があまり知事選挙に口を出すのは僕はいかがなものかと思う。やっぱり県民が選ぶ知事ですから、国会議員が主導して知事を選ぶのはおかしい」

 野田衆院議員らと県議らの間では、候補者一本化への協議が続きましたが平行線に終わり、県議らは岐阜県出身で内閣府大臣官房審議官の江崎禎英氏(55)の擁立に向け本格的に調整を開始。

 江崎氏も19日、出身の経済産業省に辞表を提出し、1966年以来55年ぶりに保守分裂選挙の可能性が現実味を帯びてきました。

 一方、20日古田知事の出馬表明に合わせ、一堂に会して会見を開いたのは、選挙に強い影響力を持つ岐阜県の経済界や業界団体。

岐阜県商工会議所連合会の村瀬幸雄会長:
「目下の最重要課題は新型コロナウイルス対策であります。この非常に難しいかじ取りを、古田知事、現職に引き続き切れ目のない県政として担っていただくことが私たちの思いであります」

 これまで通り古田知事への支持を表明した上で、「いま大事なのは政局ではない」などと自民党岐阜県連の対応を厳しく批判しました。

 保守分裂か、それとも…。混迷を深める岐阜県知事選挙。来年1月7日告示、24日投開票で、これまでに無所属の新人で元県職員の新田雄司氏(36)も立候補を表明しています。