愛知県の大村知事へのリコール運動を巡り、署名が偽造された事件で、リコール団体の幹部の1人が「事務局長と共に偽造に関与した」と話していることが、関係者への取材で分かりました。

<山田元常滑市議>
「田中事務局長から去年10月26日に指印作業の依頼があった。田中事務局長と一緒に指印を複数回押した」

 こう証言したリコール団体の幹部で15日に議員辞職した山田豪元常滑市議。リコール団体の関係者が「署名偽造の関与」を認めたのは、疑惑が発覚して以来初めてのことです。

 大村知事のリコール運動を巡っては、高須クリニックの高須克弥院長が会長を務め、田中孝博元愛知県議が事務局長に。河村たかし名古屋市長が支援していました。

 しかし、提出されたおよそ43万5000人分の署名のうち8割以上に「無効」の疑いが…。運動を主導したリコール団体の幹部が、名古屋の広告関連会社を通じてアルバイトを集め、署名を偽造するよう発注したとみられています。

 愛知県警が地方自治法違反の疑いで捜査を続けていて、山田元市議も連日、任意での取り調べに応じていました。

 リコール運動で街頭演説をするなど、中心的な役割を担っていた山田元市議。当初、「署名の偽造には身に覚えがない」と関与を否定していましたが、その後…。

Q.署名の偽造に関与があった?

山田元常滑市議:
「それも含めて、もう全部。今の段階ではお話ししませんが、時が来ましたらしっかりとお話させて頂きます」

 不正への関与について明言を避けていました。そして16日朝…。

<山田元常滑市議>
「田中事務局長から去年10月26日に指印作業の依頼があった。田中事務局長と一緒に指印を複数回押した」

 田中事務局長から署名偽造の依頼を受け、不正に関与したことを認める証言を周囲にしていることがわかりました。

 山田元市議は10月下旬ごろ、2日間にわたって約500枚の指印を押す作業をし、その場には田中事務局長やリコール団体の関係者数人がいたと言います。さらに…。

<山田元常滑市議>
「田中は、人が足りてないからルーキーズにまで『やらせれんか』と言ってきた。『それは絶対にダメだ』と断った」

 高校を中退した球児を支援するため、山田元市議が設立したNPO法人「ルーキーズ」の少年たちに対し、田中事務局長から署名偽造を手伝わせるよう指示があったものの、周囲を巻き込みたくないと断ったといいます。

 田中事務局長は東海テレビの取材に対し…。

田中事務局長:
「事務局長の指示でこうだったとか、山田さんがお話しされたニュアンスの問題がありますので、そういうところは精査しなくちゃいけないということで」

 リコール運動を主導した高須院長は…。

高須院長:
「いやいや想像を絶することなんで。不正を暴くためにみんなに記者会見をやった人が、不正をやってるって。(田中氏は)全権を持っている事務局長なんだから、事務局長が支持するんだったらそういう話ですよね」

 また、リコール団体を支援する立場だった河村たかし名古屋市長は16日、報道陣に対し「全く関与しとりません。知らなんだ。こんなバカらしいことをようやったなと」と話しました。

 河村市長とともに名古屋市長選に立候補している自民党の前名古屋市議・横井利明さん(59)も16日取材に応じ、「今回のリコールそのものが、高須院長によると河村さんの発案で行われた。(河村市長の説明jは)全く不十分だと思います」とコメントしています。