風邪のような症状で乳幼児が重症化しやすい「RSウイルス感染症」が今、全国で流行しています。感染を防ぐ対策とは…。

 名古屋市西区の「みわた小児科」。発熱や咳などの症状を訴える子どもたちの多くが…。

みわた小児科の院長:
「お父さん、これ。ここに赤い線が入ってる。やっぱりこの子、RSウイルス感染症です」

 RSウイルス感染症。咳や鼻水、発熱など風邪に似た症状が現れ、子どもを中心に感染が広がっています。中でも生後6か月未満の赤ちゃんや呼吸器などに基礎疾患のある子どもは、重症化する恐れがあり注意が必要です。

みわた小児科の院長:
「(多くの患者は)普通の風邪とそんなに変わらないが、特徴的なのは小さい子がぜんそくみたいに、普通の気管支炎ではなくて細気管支炎という状態になってくると、苦しくなったり無呼吸になったりするから、そこは見落としちゃいけないところ」

 このクリニックでは、今年5月ごろからRSウイルスの患者が増え始め、最も多い時は1週間でおよそ50人が診断されました。

 クリニックが運営する「病児・病後児保育室」では、毎日RSウイルスにかかった子どもたちが預けられ、急遽専用の部屋を設けて対応しています。

保育士:
「まだピークが過ぎていないかなという感じ」

 今年5月にRSウイルスに感染した1歳6か月の男の子。4日ほど熱が続き、夜は眠れないほど咳が悪化。血液中の酸素濃度が下がったため5日間入院しました。

男の子の父親:
「酸素が足りなくてマスクを着けて酸素吸入をしていたりとか。ここまでひどくなっちゃうんだなと、怖い病気だなとは思いました」

 国立感染症研究所によれば、RSウイルス感染症は全国的に今年春ごろから異例の流行となり、およそ3000の医療機関の小児科で、7月4日までの1週間にRSウイルス感染症と診断された人は1万3024人でした。

 2019年の同じ時期と比べると約13倍、さらに感染が広がらなかった去年の約770倍となっています。

 異例の流行の理由は明らかになっていませんが、専門家の間では新型コロナ対策で去年は感染が広がらなかった結果、免疫を持たない子どもたちの間で感染が広がっている可能性も指摘されています。

みわた小児科の院長:
「気を付けることは、お母さんから見て『どうもこの子いつもと違うぞ』というようなサインですよね。なんか元気がないし大丈夫かなというときは、診せてほしいですね」

※画像は国立感染症研究所提供