名古屋入管に収容されていたスリランカ国籍の女性が死亡した問題で10日、入管庁が最終報告書を公表し、職員による不適切な対応があったことなどを認めました。

 今年3月に33歳の若さで、名古屋入管で亡くなったウィシュマ・サンダマリさん。

 4年前に来日したウィシュマさんは去年8月、不法残留で逮捕され、名古屋入管に収容されましたが、今年1月中旬に体調が悪化。その後、診断した外部の病院の医師が「点滴や入院が必要」と指摘しましたが、名古屋入管は対応せず、ウィシュマさんは亡くなりました。

 ウィシュマさんの死から5か月が過ぎた10日…。

入管庁の佐々木長官:
「体調不良者に対する組織的な対応体制が整備されていなかった」

 入管庁が最終報告書を公表。その中で、名古屋入管の対応に複数の「不備」が指摘されました。

 自力で歩けないほど衰弱し、外部の病院での治療などを求めていたウィシュマさんの訴えを職員が「誇張」だと疑い、幹部まで情報共有をしていなかったことが明らかになりました。

 また、報告書では、職員による信じられない発言も明らかにされました。食べることもままならなくなっていたウィシュマさんが、カフェオレをふき出した際には「鼻から牛乳」。死亡した日の朝には、職員の問いかけに「あー」とうめき声を発したウィシュマさんに対して「ねぇ、薬きまってる?」と発言。

 命の危機に瀕した人間に対するものとは思えない発言が、繰り返されていました。

佐々木長官:
「人の命を預かる行政機関として、緊張感や心の込め方が不十分であった。お詫び申し上げます」

 最終報告書の開示を受け、会見した遺族側の弁護団は…。

指宿弁護士:
「少なくとも医療体制だけの問題ではありません。問題となっているのは、被収容者を人として見ないという意識の問題です。人として当然の認識・意識が欠けているという問題です」

 入管庁は当時の名古屋入管の局長と次長を訓告処分とし、今後改善策をまとめるとしています。