新型コロナの感染拡大が続く中、嗅覚や味覚の異常などの後遺症に悩まされている人がいます。「一生治らないのでは」という不安と恐怖、患者の生の声を取材しました。

 名古屋市東区の「愛知医科大学メディカルクリニック」。

母親:
「しょっぱいとか、甘い辛いは感じるらしいんですけど」

 この日、母親に付き添われ訪れたのは、県内の高校に通う17歳のマイさん(仮名)。

医師:
「例えば、エビチリ食べたらエビチリってわかるよね?それがわからないってこと?」

高校生のマイさん:
「エビチリの味はせずに。お肉とか食べても塩味とかは感じるんですけど、旨味は感じない」

「甘い」「辛い」といった区別はつくものの、食べ物の味そのものを感じとることはできません。新型コロナの後遺症による味覚障害です。

 今年6月に感染が判明したマイさん(17)。コロナの症状は軽かったものの、味覚と嗅覚に異常が残り、2カ月以上がたった今も完全には味覚が戻っていません。

マイさん:
「今は味覚がないです。一生治らないとかだと怖いなって思います」

母親:
「(将来)結婚して料理を作った時も、味がわからないっていうのは心配ですし」

 マイさんのように、感染後の後遺症に悩まされる人は少なくありません。

 クリニックによると、新型コロナの後遺症にみられる症状は、その多くが味覚・嗅覚の障害や倦怠感などですが、人によっては記憶障害を訴えるケースもあるといいます。

 このクリニックでは、後遺症の症状を自覚した患者のうち、およそ55%が1か月後も症状に悩まされ、さらにその半数は30代以下の若い世代でした。

マイさん:
「自分がなって身近に感じたというか、誰にでもかかるのかなって感じはしました」

 しかし、後遺症治療にはまだ不明な点が多く、全国的に専門外来が少ないのが現状です。

馬場クリニック長:
「完全に必ず治せるという決め手になる治療がまだ確立されていない。一生続くんじゃないかと不安で来られる方も結構いらっしゃる」

 こうした中、愛知医科大学メディカルクリニックでは、今年4月から新たに新型コロナの「後遺症外来」を開設。毎日5〜6件ほど相談や診療依頼の電話があり、8月はすでに予約が埋まっているといいます。

 この日、血液検査とCT検査も受けたマイさん。後遺症に悩みながら、コロナの恐さを身をもって感じています。

マイさん:
「出かけている人が多いのを見て、自分はマスクとか手洗いとかちゃんとしてても(コロナに)なったので、誰でもなることがあると気付いたので避けてほしいなと思います」