大学4年生にとって最後の試合となる秋季リーグ戦。東海地区大学野球岐阜リーグも2日開幕した。近年、急速に力をつけ、全国でもその名を轟かせる中部学院大学も初戦を戦い、岐阜大学を7対2で下した。

 ここまでならいつもと変わらないことなのだが、この秋のリーグ戦は今までと少し景色が違う。この大学を全国区の強豪に育て上げた監督の原克隆氏(52)がベンチにいないのだ。

 実はこの中部学院大学野球部、コロナ禍でこの1年間余りの間に野球部内で3度クラスターが発生したのだが、それが一つのきっかけとなり、原氏が監督を交代させられたのだ。

 この件について、大学側は「決してクラスターが3度出たということだけが監督交代の理由ではない。学内における様々な事情もあり交代した。野球部を強豪に育てた監督だけに苦渋の決断だった」とのこと。

 中部学院大学と言えば、現在カープで5勝をあげている床田寛樹(2016年ドラフト3位)や、同じくカープで70試合に出場している野間峻祥(2014年ドラフト1位)の出身校だ。今や“中部学院大学で野球がしたい”と多くの学生が夢を持って入学してくる。

 実際に野球部関係者に話を聞くと「監督交代に関して、多くの部員がショックを受けているし、コロナに感染した部員の中には『自分のせいで監督が交代させられてしまった』と悲観している者もいる」とのこと。

 クラスター発生が一因の監督交代は全国的にも異例の人事。東海地方の大学野球、いやアマ球界全般を盛り上げてきた中部学院大学の突然の監督交代は、大きな波紋を呼ぶだろう。