名古屋市で10月9日と10日、新型コロナワクチンを接種した20代から40代の男女5人が救急搬送されました。市によると接種後の「副反応疑い」があるということですが、副反応といわれるものにも種類があります。

 まずワクチンの成分に対して起きる反応、アナフィラキシーショックなどがこれにあたります。そしてもう1つ、注射への不安などから体に表れる反応で「血管迷走神経反射」というものです。

 この「血管迷走神経反射」が、若い世代の接種後報告されるケースが増えています。専門家に詳しく聞きました。

 全国で2回目の接種率が60%に迫り、若い世代にも進む新型コロナワクチンの接種。その一方で…。

20代の男性:
「(ワクチン接種後に)喉がすごく渇いて、こまめに水分をとっていました」

20代の女性:
「(友人が)ワクチンを打った直後に倒れちゃった子とか聞きました」

 接種直後、体調に異変が生じるケースも…。感染症専門医で愛知県がんセンター病院の伊東直哉医師に詳しく聞きました。

伊東医師:
「血管迷走神経反射も、ワクチン接種の副反応のうちの一つと考えてもらっていいと思います。血圧や脈が低下して気分が悪くなったりして、ひどいと気を失って倒れてしまうことがある。僕は名古屋空港会場で多い時は2000人くらい打つ日もあるが、4〜5人くらい迷走神経反射で気分が悪くなる人たちがいる」

 血管迷走神経反射とは、注射の痛みや接種への緊張といったストレスから、立ちくらみや動悸などを引き起こす体の反応のことで、特徴は若い人に多いという点です。

伊東医師:
「女性や若い人、特に40歳未満の方は血管迷走神経反射のリスクとしてよく知られている。若い女性でワクチンを打った直後に立ち眩みがして、冷や汗が出てそのまま失神してしまうという症状が典型的」

 今年8月には、愛知県西尾市で14歳の女子中学生が、ワクチンの接種後に失神して転倒。下あごを切るなどのケガをする事案があり、市は「迷走神経反射」を起こした可能性があるとしていました。

 初めてのワクチンへの不安や、注射に慣れていないことが若者に多くみられる理由と考えられています。

30代の女性:
「(接種は)緊張したので、心臓がドキドキしてました」

20代の女性:
「副反応も結構熱が出るとか事前に聞いていたので、少し不安はありました」

 一方で…。

伊東医師:
「アナフィラキシーと混同されることがあるが、アナフィラキシーみたいな副反応はコロナワクチンの成分に対するアレルギー。血管迷走神経反射はコロナワクチンの成分に対するアレルギーではない。採血や他のワクチン、献血でも十分起こりうるので、そのあたりは混同するべきではないと思います」

 伊東医師によると、迷走神経反射は注射という「行為」によって引き起こる反応。コロナワクチンの成分による副反応とは異なるため、接種への過度な不安にはしてほしくないと話します。

伊東医師:
「流行を収束させるためにも、若い世代の接種率を高めないといけない。血管迷走神経反射が怖いからといって、接種しないのはデメリットが本当に大きいと思います。コロナに罹ることを予防するためのワクチンは、積極的に接種を検討する必要はあるのではないかと考えます」