「気持ちの持っていきようがない…」約8千km先の海底火山の噴火でカキの養殖いかだに大きな被害「皆頭抱えてる」
およそ8000キロ離れたトンガの海で起きた海底火山の噴火により、三重県鳥羽市では、潮位の変化・津波によって、カキの養殖いかだが流されるなど大きな被害が出ました。復旧にあたる業者は、厳しい現実に直面しています。
浜英水産の浜田さん(父):
「弱いところは全部折れるんよ。あっちは真っ直ぐきれいに並んどるでしょ。折れた、完全に折れとる」
大きく破損した、いかだ…。三重県鳥羽市浦村町。自然の恵み豊かな生浦湾で育つカキは、浦村かきとして有名です。
16日未明に南太平洋のトンガで起きた大規模噴火。およそ8000キロも離れた鳥羽で60センチの潮位の変化が観測されました。
17日上空から撮影した映像。湾内の養殖いかだおよそ500台が津波で流され、折り重なるように壊れたいかだが浮かんでいました。
18日朝からは養殖業者が潜水して絡まったロープをほどき、いかだを元の位置に戻す復旧作業が始まりました。
浜田社長:
「完全復旧までに1週間以上、下手したら2週間はかかっちゃうんじゃないですかね」
父親とともに浦村かきの養殖業を営む浜田章吾さん(41)。被害は海の中にも及んでいました。
浜田社長:
「いかだを留めている錨のロープが種(カキ)の中に入っちゃって、ロープで種が全部擦れて落ちちゃう状態になっていますね」
いかだのロープがカキを吊り下げるロープと絡まり、海中に落ちてしまう被害も出ていました。
浦村かきは、養殖が盛んな三重県でも生産量1位を誇る特産品。地域経済に与える影響は小さくありません。
浜田さんも去年の秋から、来シーズンの出荷に向けおよそ7万6000個のカキを養殖していました。
浜田社長:
「例年の2割とか3割くらい減っちゃったりしますね」
実は生浦湾では、温暖化などの環境変化で3年ほど前からカキの大量死が起きていて、津波による被害が追い打ちをかけることにもつながりかねません。
浜田社長:
「物も全然取れない状態なのに、これで今からまた出そうというときに津波が来たので、みんな頭を抱えている状態です」
はるか遠い海で起きた海底火山の噴火によってもたらされた鳥羽の海の被害。父親の英夫さんも肩を落とします。
浜田さん(父):
「自然だからね、(気持ちの)持っていきようがないのよ。悪い中(カキも取れない)でこの状態だからね。また余計に借金せないかんなって言う人も出てくると思う」
今回の被害に対して三重県は、被害状況を把握したうえで漁業者への支援も検討するとしています。