オミクロン株の第6波の渦中、救急車の患者を受け入れる医療機関が見つからない「救急搬送困難事案」が急増しています。

オペレーター:
「はい119番、火事ですか救急車ですか」

通報者:
「救急車お願いします」

オペレーター:
「名古屋市消防から出動中の各隊、支援情報を送る。現状、指令場所駐車場、こちらにおいて車両内の閉じ込め。66歳の男性、呼びかけに応答なし」

 名古屋市の防災指令センター。救急の要請や火事の情報など、1日におよそ600件もの通報が寄せられます。

オペレーター:
「コロナ陽性の方ですね。年齢はおいくつ」

通報者:
「85歳の方で、きょうになって呼吸状態が悪化していて」

別の通報者:
「90歳の女性の方なんですけども、肺炎の疑いで酸素が低いもんですから」

オペレーター:
「コロナは大丈夫そうですか」

別の通報者:
「コロナは1月25日から感染化してて、先週金曜日に隔離が解除になったところです」

オペレーター:
「コロナの陽性の患者さんだったんですか」

別の通報者:
「そうです」

 1チーム13人、3チームで交代制の業務。午前8時45分からの24時間体制ですが、新型コロナの感染拡大で休憩もままなりません。

名古屋市消防局指令課の消防司令:
「名古屋市のコロナウイルス感染症対策本部との連携も非常に重要になりますし、救急隊への情報提供というのも、きめ細やかな情報提供が必要になりますので。やり取りする情報量が増えていますので、日によってはほとんど休憩時間が取れない。ほとんど全員体制で119番の受け付けに備えているという日も、最近では多くなってきました」

 さらに、ここにきて負荷を増しているのが、「救急搬送困難事案」の増加です。

 救急搬送困難事案とは、患者を受け入れる医療機関が見つかるまで救急隊が4回以上問い合わせ、かつ患者のもとに到着してから出発までに30分以上かかるケースのこと。

 医療体制が逼迫した「第5波」の時も増えましたが、先週1週間では過去最多の143件。第6波に入ってからの方が大幅に、そして急激に増えているのです。

名古屋市消防局指令課の消防司令:
「通常ですと、2件目・3件目で受け入れ先が決まるところが、5件・6件掛けても見つからないということになっています。医療機関の状況はかなり逼迫していると思いますし、そんな中でも医療機関の皆さまのお陰で何とか保っているのかなという状況です。ご家族もご不安ですし、ご本人さまも一番お辛いと思いますので、最大限の対応ができるようにということでやっております」

 市の医療行政の責任者は、高齢者への感染拡大傾向や医療機関が人手不足に陥っていることが、いまの事態を招いていると分析します。

名古屋市の医監:
「最近になって高齢者の感染の方が増えてきています。具合が悪くなって救急を要請されるというケースが連日30件・40件起こっている。一方で医療機関で職員の方がコロナ陽性になられてなかなか受入れが難しい、複合的な要因があって救急患者の受け入れ数をちょっと減らさなくちゃいけない」

 名古屋市民の救急の要、防災指令センター。正念場はまだしばらく続きます。