8月22日、名古屋高速でバスが横転・炎上し、9人が死傷した事故で、亡くなった乗客は、名古屋空港ビルの管理会社社長の男性と判明しました。関係者からは突然の死を悼む声が聞こえています。

利光さん:
「名古屋っていう街全体がですね、インバウンドの方を引き付けるようないくつかのコンテンツを並行して持つというのが一番いいんじゃないかと思いますね」

 名古屋の魅力を世界へ発信する夢を語るのは、名古屋空港ビルディングの社長・利光克仁さん(64)。名古屋高速で起きたバス事故で亡くなったことが、30日夜に判明しました。

 8月22日、名古屋市北区の名古屋高速・小牧線で、県営名古屋空港に向かっていた路線バスが横転して炎上。2人が死亡し、7人が軽傷を負いました。

 そして事故から8日経った30日夜、警察は亡くなった2人が利光さんと、バスの運転手大橋義彦さん(55)だったと発表しました。

 名古屋の大学を卒業した後、名鉄に入社した利光さん。4年前に定年退職した後は空港のビル管理会社の社長に就任し、事故当日も出勤する途中だったとみられています。

本丸ネットワークの三輪理事長:
「全然信じられなかった、最初はね。何かの間違いだろうと」

 30日夜に訃報を聞いた、名古屋城本丸御殿の復元などを支援するNPO「本丸ネットワーク」の三輪隆裕理事長。利光さんはこの団体の初期メンバーで、仕事の傍ら30年以上に渡り、三輪さんらと活動してきました。

三輪理事長:
「(利光さんは)きちんと自分の意見をおっしゃる方でね。なかなか物事に対する全体を見る力とか、問題点を打開していく力とか、そういう発想が非常に優れていた方だと思いますね」

 これまで、初代尾張藩主・徳川義直への嫁入りを再現した「春姫道中」を開催するなどしてきた利光さんたち。

 コロナ禍でイベントが中止になっても、春姫などを題材に漫画で名古屋の歴史を紹介する本を出版。名古屋の文化を後世に残そうと精力的に活動してきました。

三輪理事長:
「(利光さんは)将来『本丸ネットワーク』を引っ張っていってもらおうと思っていた人材ですから、非常に失ったのは残念ですね」

 2人が死亡したバス事故…。同じく死亡が確認されたバスの運転手・大橋義彦さん(55)について、慎重な運転で仕事にまじめだったと元同僚は話します。

大橋さんの元同僚:
「交代する時とかに『今日はどこどこの道が混んでいるから気を付けた方がいい』とか『お客さんの数が多いから、あの辺は慎重に運転した方がいいよ』とか、そういうちょっとしたアドバイスはあちらの方から気を遣ってくれて。いつも顔色は良かったですし健康そのもので、病気を持っているイメージは全く想像つかない方でしたね」

 事故の直前、不安定な走行を繰り返していたバス。警察は大橋さんの体調に突然異変が起きた可能性もあるとみて、事故の原因究明を進めています。

※画像は本丸ネットワーク提供