西濃運輸・林優樹投手が運命の日を待つ

 10月20日のドラフト会議まで1週間を切った中、注目の左腕、西濃運輸・林優樹投手を取材した。

 林投手は4歳から兄と姉の影響で野球を始めて、近江高校時代には春夏の甲子園に3度出場。3年の夏には現・千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手、現・中日ドラゴンズの石川昂弥選手らと共にU18日本代表に選ばれた逸材だ。

 当時の身長は174センチ、体重64キロと小柄な体格ながらも、自身の武器である制球力、投球術で注目を浴びていた。

 それでも、同世代のトップレベルの選手を目の当たりにした際に「まだプロのレベルでは通用しない」と実感。大学進学ではなく、野球に専念できるように社会人野球へ進むことを決めていたが、家族から背中を押され、高校3年時にプロ志望届を提出した。

 しかし、指名はされなかった。

 その時に、野球を始めた頃から夢だった「プロ野球選手になりたい」という思いをさらに強く抱いたという。

 2020年に西濃運輸に入社し、3年間必死に練習に取り組んできた。食事やトレーニングにも力を注ぎ、現在は体重75キロ。ストレートの最速も147キロまでアップした。

 そして球の回転数や投球術のレベルアップを図ってきた。辛い練習を乗り越えてこられたのは、誰よりも負けず嫌いな性格と、もう一つの強い思いがあったからだ。

 取材中、見せてくれたのは林投手が今使っている緑色のグローブ。そこには「夢叶うまで」と刺繍されていた。

「プロの世界で活躍することが、自分の野球に携わってもらった全ての人への恩返しになると思いますし、感謝の気持ちを持って野球をやりたいと思います」

 3年目の今年はドラフト指名の解禁年。夢だったプロ野球選手へ。運命の日はもうすぐそこだ。

「選ばれるか選ばれないか分からないですけど、社会人野球3年間はやり切ったので、自信をもって迎えたいなと思います。自分の名前を呼んでいただいた時は、そこがスタートだと思うので、活躍できるようにもう一度自分を見つめなおして、自分が活躍するところを描いて、スタートが切れたらいいなと思います」