名古屋市千種区の東山動物園で「ご長寿コアラ」として親しまれていたクレメンツが、14日、死にました。

 たどたどしく木の上を歩くコアラ。2022年6月、名古屋市千種区の東山動植物園で撮影された、24歳のメス「クレメンツ」です。

 人間で言えばおよそ120歳、平均寿命の倍ほどの「ご長寿コアラ」として親しまれてきましたが14日、老衰で死にました。

(リポート)
「クレメンツが過ごしていた場所です。その前には献花台が設置され、市民が持ってきた花が並んでいます。その中には『ありがとう』と言葉を添えたものもあります」

 コアラ舎の前には献花台が設けられ、15日は午前9時に開園すると、多くの来園者がクレメンツとの別れを惜しみ、花を手向けたり手を合わせたりしていました。

来園した女性:
「ニュースでクレメンツが亡くなったのを知って、9時から開園なので来ました。寂しいですね。残念だなと思いましたけど、老衰だったとニュースで聞いたので大往生かなと。穏やかな優しいコアラだと思います」

別の女性:
「献花させていただきました。今までたくさんありがとうって」

 1997年にオーストラリアで生まれたクレメンツ。2001年に名古屋にやってくると、活動的な様子から一躍人気者になりました。

 また、母親としては8頭の子どもを出産しました。

 東山動植物園によりますと、現在国内で飼育されているおよそ60頭のうち、実に3分の1を占める20頭ほどはクレメンツの子孫。実際、神戸市の王子動物園では、全5頭のコアラのうち、3頭がクレメンツのひ孫と玄孫です。

来園した女性:
「名古屋でコアラの繁殖が広まったのはすごく素晴らしいなと。東山のコアラ繁殖の立役者と言ってもいいんじゃないかな」

 まさに日本のコアラの「ビッグ・ママ」ともいえるクレメンツ。10月下旬からは食欲が落ち、エサのユーカリが自分では食べられなくなり、14日、大往生を遂げました。

 クレメンツがいたコアラ舎では…。

来園した女の子:
「かわいかった」

 2022年3月から4月に生まれた赤ちゃんコアラ3頭が公開。クレメンツの子孫ではありませんが、残した人気を受け継ぎ来園者の注目を集めています。

来園した女性:
「赤ちゃんと、一方で亡くなられた貢献されたコアラちゃんと、感慨無量です」

※画像は東山動植物園提供