物価高が止まりません。帝国データバンクによりますと、12月1日から食品145品目が値上げされます。モノの値上げが止まらない中、従業員の生活を少しでも支えようと「インフレ手当」を支給する会社が増えてきました。

 止まらない物価の上昇…。名古屋の街で、今の物価高をどのように感じているか聞いてみました。

20代主婦:
「おむつとか上がっていますね、ちょっとずつ」

30代会社員:
「電気代・ガス代も去年に比べたらだいぶ高いなと思って。同じだけ使っていても全然違う」

60代女性:
「1つ1つが20~30円ずつ上がっている感じがしますね」

 多くの人が感じている物価高。家庭で消費する物やサービスの値動きをみる10月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除いて「+3.6%」と、1982年以来実に40年8カ月ぶりの大幅な伸びになりました。

 具体的には電気代やガス代が20%以上、食パンなどの食料品も5.9%上昇しました。こうした値上げが続く中、名古屋の企業では新たな取り組みが…。

ダイコク電機の担当者:
「『インフレ対応特別手当』という形で、一時金で支給しました」

 名古屋市中村区に本社を置く、パチンコ店向け設備機器大手のダイコク電機。10月、パートを含む従業員およそ400人を対象にインフレ手当を支給しました。

 1人あたり最大3万円で、総額で1280万円の負担になります。半導体不足の影響で機器の製造ができず、決して業績が良いわけではないそうですが…。

ダイコク電機の担当者:
「社員が安心して働いていただける、そのような制度の改善や福利厚生の充実。急激な変化という中で対応できるのは何かということを考えた時に、なんらかの形で従業員に還元することが大事だと思っております」

 帝国データバンクが全国の企業1248社に調査したところ、物価上昇をきっかけにインフレ手当を支給した企業は全体の6.6%。支給予定や検討中を加えると、およそ4分の1の企業がインフレ手当に前向きであるとしています。

 一方、6割を超える企業は「支給する予定はない」と回答しています。

会社員の男性:
「(インフレ手当は)ない。あればうれしいですよね」

別の会社員の男性:
「やっぱりうらやましいです。小さい会社とかは自分の会社の経営もつらいと思うので、なかなか厳しいのが実態ですよね」

 3万円の「インフレ手当」を受け取った、ダイコク電機の金井生多さん(32)。生後9カ月の娘と妻の3人で暮らしています。

金井さん:
「粉ミルクですとか、子供がまだ小さいので、自分達の物じゃなくて子供の物もすべてが値上がりしているなとすごく感じています。まず驚きましたね、それと同時にすごくありがたいなと」

 まさに物価の上昇を肌で感じる中での今回の手当て。金井さんは食費や光熱費の支払いに充てるそうです。

金井さん:
「生活を守るというところまで考えてくれているのかなと思って、素直にいい会社だなと感じています。モチベーションが上がるような取り組みが広がっていけばいいなと思っています」

 従業員の生活支援だけでなく、モチベーションアップにも繋がるインフレ手当。記録的な物価高の中多くの企業に広がるのでしょうか。