
年末に日銀が発表した「事実上の利上げ」で円高が加速し、円安に苦しんできた人からは歓迎の声が上がる一方で、新たな影響も出始めています。
年始早々、一時1ドル129円台を記録するなど、為替相場は7カ月ぶりの円高水準となっています。
日本銀行の黒田総裁(12月20日):
「イールドカーブコントロール(長短金利操作)の運用について、一部見直しすることを合わせて決定しました」
日銀が年末にサプライズ的に発表した金融緩和策の修正では、これまで0.25%程度までにとどめていた長期金利の上限が0.5%程度に引き上げられ、事実上の利上げとなりました。
これを受けてか、去年10月に151円台だった円相場は、2カ月余りで20円以上も円高に振れています。
久しぶりの円高水準に期待を寄せる人もいます。
名古屋市守山区の焼肉店では、去年はアメリカやオーストラリアからの輸入肉の仕入れ価格が2倍ほどに上がっていました。
焼肉店の店長:
「(ピーク時と比較して)だいぶ落ち着いたところはあります。(鶏肉の仕入れ値は)一番安い時からは50%くらい」
牛肉などは依然高止まりの状況ですが、鶏肉などの一部商品は少しずつ価格が下がってきたと言います。
焼肉店の店長:
「(仕入れ値が)一番安い時より下がってもらうことが希望です。下がってくれればお客さまに還元もしやすいですし、お店としてもハッピーなことが続くので」
「事実上の利上げ」では「住宅ローン」も影響を受けます。銀行大手5行は、1月から新規の固定型ローン金利を10年固定型では0.1〜0.34%に引き上げました。市場の金利次第で変わる変動金利よりも影響は大きく、夢のマイホームへの壁となり得ます。
(リポート)
「マイホームの購入となると気になるのは住宅ローンです。固定金利か変動金利か、皆さんはどちらを選ぶのでしょうか」
住宅展示場で、マイホームの購入を検討している人に聞きました。
40代男性(会社経営):
「変動の方で考えています。変動金利でどれだけ上がっても、元々固定で準備されているところまでは上がらないんじゃないかと勝手に思っているので」
30代男性(会社員):
「変動金利です。単純に安いから。固定は上がるけど、変動は簡単に上げられないみたいな話も聞いたりするので」
このタイミングで固定を選ぶ人は少ないようです。住宅の販売員にも、どちらの金利を選ぶべきか相談があるといいます。
アールプランナー豊田展示場の主任:
「われわれとしましては、(固定金利を組んで)今年お家を買おうと決めていらっしゃった方が二の足を踏んでしまう可能性があるのが一番懸念しております。目先の金利というよりかは、長い目でみた時のお客さまたちのライフスタイルでご判断いただいた方がいいのかなと思います」
生活を左右する事実上の利上げですが、今後の景気はどのように変わっていくのか、専門家に尋ねました。
中京大学経済学部の内田客員教授:
「金融政策の変更に伴って、過度な為替の変動もおそらく抑えられると思いますし、(今年後半は)資源相場や穀物相場もある程度落ち着くことを前提としますと、年後半にかけてはゆるやかに物価上昇率というのは縮小していくと、伸びが弱まっていくとみております」