三重県では、17日発表の新型コロナ感染者の死亡が21人と過去最多を更新しましたが、いずれも高齢者でした。高齢者が入居する特別養護老人ホームでは対策に追われています。

 三重県松阪市にある「グレイスホーム」。50代から上は103歳まで、高齢者を中心におよそ30人が入居する特別養護老人ホームです。

 18日の時点で、施設内に感染者はいませんが、第8波が続く中、かつてない緊張感に包まれています。

グレイスホームの施設長:
「今回(第8波)は職員2名・入居者4名で(感染が)止まりましたけれども、どうしても何も聞こえない方には耳元で大きな声で言います。(感染拡大が)いつ起こるかわからない状況はずっと続いております」

 三重県では、12月31日から1月6日かけ新たに29件のクラスターが発生。このうち22件が特別養護老人ホームなどの高齢者施設でした。

【動画で見る】「いつ感染起こるか分からない…」高齢のコロナ患者の死亡が増加 特別養護老人ホームにかつてない緊張感

 17日に発表された県内の死者数は21人と過去最多を更新。いずれも70代から100歳代までの高齢者でした。

 この施設では、第8波に入ってからクラスターは発生していませんが、職員から入居者に感染するケースも。

 現在、県の「医療ひっ迫防止アラート」に伴い、職員はPCRや抗原検査を週3回実施して、介護に臨んでいます。

介護職員:
「そこら辺に菌がまん延していると思うので、(検査は)そのくらい必要なのかもしれないです」

グレイスホームの施設長:
「(検査の)結果が翌日にはだいたいわかりますので、その中で陽性者がいたら、そこでその人がどういう関わりをしていたか全部調べて、もちろん陽性者は出勤停止になりますけれども」

 また入居者と家族の面会も、ビニールの衝立越しで10分までと制限。

面会に来た男性:
「本当は部屋まで行って、個室で会うのが一番いいんですけれども。それはもう3年くらいできていませんね」

 万が一発熱するなどした場合は、職員は防護服を着て介護にあたります。施設側でできる対策を徹底していますが、別の問題も起きています。

 年明け間もなく、入居者に陽性が判明したものの、受け入れ可能な病院がなく、そのまま施設で療養することになりました。

グレイスホームの施設長:
「病院の方にも尋ねましたけれども、コロナ病床は満床ですということでした。元々たくさん薬を飲んでおられたりする中で、本当にこのままでいいのかという不安がある中ですけれども、呼吸症状が本当に大変になってきた時には救急車を呼んでくださいと」

 三重県では1月12日、新規感染者数が過去最多の5457人となり、病床使用率も66.4%と第7波を上回りました。

 この施設では、万が一クラスターが発生すれば、運営自体が危うくなると訴えます。

グレイスホームの施設長:
「コロナが特別なものではないという風になっていくしかないのかなと思います。休む職員も本当に増えて、仕事場が回らない状況ができてしまっている。施設の運営も成り立たなくなってしまうという事が今、大きな課題です」