新型コロナウイルスは、5月8日から感染症法上の分類が「5類」に引き下げられます。「マスクの着用」も緩和される方針ですが、教育現場の反応を取材しました。

 名古屋市南区の白水保育園。およそ240人の園児が通っています。

 この園では厚労省のガイドラインを参考にして、すでに園児のマスク着用は2歳以下には求めず、3歳以上は保護者の判断としています。

白水保育園の園長:
「おやつの前だとか、トイレに行く時だとか、外に出て帰る時だとか、必ず決まった時間に手洗い・消毒はきちっとしています。感染症対策はとても必要だと思っています。マスク着用につきましても、無理強いはせずに保護者の方にお願いをして、着けられる方は着けていただく」

【動画で見る】園児の保護者には不安も…新型コロナの5類引き下げで緩和方針の「マスク着用」教育現場は手探りの対応に

 保育園も手探りで対応する子供たちのマスク。政府は先週、5月8日から新型コロナの感染症法上の位置づけを「5類」に変更し、マスク着用については個人の判断とすることを決めました。

 しかし、小さな子供が自らマスクの必要性を考えることは難しく、今後も代わりに判断する保護者の胸には、心配や不安が付いて回ります。

2歳の子を持つ親:
「ウイルス自体の感染力が下がるわけではないので。それで緩くなっちゃって、保育園でまん延したら嫌だなとは思っています」

3歳の子を持つ親:
「お友達の顔も知らずに、ずっとマスクを着けた生活を入園からしているので、ちょっと外してあげたいなと思うんですけど、心配のほうが強いです」

 この園では5類引き下げを機に、窮屈な生活を少しずつ緩和していくことにしています。

白水保育園の園長:
「運動会等の行事も、コロナ禍だと入場制限で1人だとか、家庭1人にさせていただいていましたけど、それを段階的に保護者の方と相談しながら、できるだけ元の形にしていきたいなと思っています」

 小学校の現状はどうなっているのでしょうか。岐阜市の則武小学校を取材しました。

(リポート)
「体育館ではバスケットボールの授業が行われていますが、子供たちはマスクを着けた状態で活動しています」

 熱中症リスクの少ない冬の時期は、選択制としているというマスク着用。しかし、5年生のバスケットボールの授業では、全員がマスク姿でした。

 岐阜市教育委員会によりますと、屋内での活動時は原則マスク着用を推奨。会話をしない、運動をするといった場合は、臨機応変に対応しているといいます。

 教室での授業中もマスクを欠かさない子供たち。もし「外していい」と言われたら…。

4年生の児童ら:
「コロナが大丈夫でも、まだかかる可能性は少しあるから、一応マスクは着けると思います」

「着けたくはないけど、かからないために着けます」

「慣れたので、あんまりそう(外したいと)思いません」

 常にコロナに警戒する日々、マスクでの学校生活に慣れてしまったと話します。

 政府は学校現場でのマスク着用を3月から見直す案も検討しています。卒業式シーズンを意識した緩和です。

 ただ、安心・安全が科学的根拠で示されない中での緩和には、学校として戸惑いを感じるといいます。

則武小学校の校長:
「学校は安心をもって教育が成り立つので、その安心が担保できない中で『外しましょう』とはなかなか言えないかなと思います」

 卒業式を控える6年生は…。

6年生の女子児童:
「合唱は外してやりたいかな。親が見ているから、やっぱり外したほうが顔も見られるし、思いも届くと思います」

6年生の男子児童:
「小学校最後なので、みんなの顔を覚えたりとか、最後にみんなの顔を見たりとかしたいからです」

 現時点で則武小学校は、卒業式を迎えた子供たちが晴れやかな素顔を見せられる場面を用意する方針です。

則武小学校の校長:
「卒業証書を受け取る時は、マスクを外していいかなと思っています。6年間頑張ってきた自信にあふれた顔を、保護者の皆さんや先生方に見ていただいて、堂々と卒業していく姿を見ていただくのはいいことだと思います」