新型コロナウイルスは、5月に感染症法上の位置付けが「5類」に引き下げられます。しかし、後遺症に苦しむ人もいます。その症状や、治療法などの現状を取材しました。

吉田義彦さん(52):
「不安しかないですよね。もうこのまま治らないのかな、どうなるのかなって」

 愛知県春日井市でカバンなど革製品を製造する吉田義彦さん(52)は、2021年の正月明けに新型コロナに感染し、その後長期間にわたり後遺症に苦しんだといいます。

吉田さん:
「夜シャワーを浴びてて、ボディソープで洗ってたんですけど、その時に『そういえばなんのにおいもしない』というので気づいて。ごはんがとにかくおいしくないので。味はわかるけどにおいがしないっていうのは、ずっと鼻をつままれた状態でご飯を食べているのと一緒なので、頭の中がおかしくなるというか」

【動画で見る】全体倦怠感や頭痛等が増…新型コロナの変異と共に『後遺症』にも変化 医師「5類引き下げで全体的に増加か

 特にひどかったのは嗅覚障害です。日常生活だけではなく仕事にも影響したといいます。

 仕事で使う、革を薄くする機械。故障や不具合があると焦げ臭くなりますが、においがわからないと機械を止めるなどの対応が遅れ、火災につながるリスクも高まります。

 どうしていいのかわからず、医療機関にも行かないまま不安を抱えて過ごすこと、およそ8カ月。出張中に突然嗅覚が戻りました。

吉田さん:
「部屋の中にコーヒーが来た途端、においがすると思って。振り返ったら本当にコーヒーだと。たまたまかもしれないですけど、ワクチンを打った3日後に治ったので。色んな情報がもっと色んな所から発信されていくということがあると、精神的にもだいぶ違うんじゃないかなと思いますね」

 厚生労働省は、後遺症の発症後にワクチンが効果があるとするデータもあるものの、さらなる検討が必要としています。

 愛知県大府市のクリニック。

 コロナの後遺症外来を受診する人は去年2月の「第6波」のピーク時と比べ3分の1ほどに減りましたが、今も1日10人ほどはいるといいます。

柊みみはなのどクリニックの内藤孝司院長:
「味覚障害・嗅覚障害・記憶障害はあまり見られなくなりまして、いま多いのが全身倦怠感・頭痛・喉の痛み・せきが長引くケースが多いですね」

 デルタ株にオミクロン株、新型コロナの変異とともに、後遺症の症状も変わってきているといいます。

 また内藤医師は、新型コロナの飲み薬を服用すれば後遺症が出ることを3割程度抑えられるものの、薬の飲み合わせの問題で処方できない人もいると話します。

 こうした状況の決まった「5類」への引き下げについては…。

内藤院長:
「『発熱外来』とうたわなくても一般診療で多くの発熱の患者さんに対応できるから、私としては一応歓迎している。5類になったとはいえ、病原性が変わるわけではありませんので、感染者数が多いものですから、やはり後遺症の出る方は一定数出てくるので。全体的には増えてしまうのかなという風には思いますね」