14日午前、岐阜市にある陸上自衛隊の日野基本射撃場で、18歳の自衛隊員の男が訓練中に銃を発射し、隊員3人が撃たれ、2人が死亡しました。軍事・安全保障などが専門のジャーナリスト、井上和彦さんに訓練の内容などについて話を聞きました。

Q.自衛官候補生とは

本格的な自衛官になる前の、一般企業でいえば「試用期間」にあたりますが、3カ月間の基礎的な訓練を受けて、今回の隊員は4月入隊ということですので、6月末まで3カ月間試用期間を行いまして、その後、7月1日から正式に「二等陸士」という階級をもらって、自衛官になります。

Q.試用期間中から銃を使って訓練をするのでしょうか

基礎訓練の中の一番重要な訓練として、実銃を持った訓練をします。

Q.どういった体制で行われているのでしょうか

指導員がついて、初めて銃を持って実弾を込めて発射するので、徹底した管理の中で行われます。

Q.撃たれた3人は教育する立場だった

新入隊員の訓練を行う指導員という形になります。

Q.訓練ではどのような銃が使われていますか

おそらくここは、89式小銃といわれる自動小銃を撃つ訓練だと思います。単発でも撃てますし、連射することもできる銃です。陸上自衛隊の隊員の一般的な装備の1つです。

Q.まだ詳細はわかっていませんが連射したということでしょうか

わからないです。3人の方が撃たれて亡くなっているということですが、連射という形でやった可能性も否定できない状況です。

Q.訓練は「徹底した管理の中で」ということですが、事件を防ぐために防弾チョッキを着用するといった対策はしていなかったのでしょうか

ケースバイケースです。基礎的な訓練のときは着けていなかった可能性もあります。こんな近距離で撃たれた時は防弾チョッキの防弾性能を超えた衝撃になるので、必ずしも防げるというものではないと思います。

Q.どうすれば事件を防ぐことができるのでしょうか

今回の事件は、個人の犯行。意識の問題や教育・訓練のあり方が問われる問題ではなくて、ついこの前まで高校生だった中で、自衛隊に志高く入隊してきたと私は思いますが、今までの生活環境と大いに異なる集団生活があり、非常に厳しい訓練がある試用期間の中で、メンタルがやられてしまった可能性は否定できないです。試用期間の間にメンタルケアというものも、今後課題になっていくのではないかと思われます。 

【動画で見る】「“試用期間”のメンタルケアも今後課題に…」18歳自衛隊員が訓練中に銃発射し隊員3人死傷 専門家が解説