
岐阜市の日野基本射撃場で隊員3人を撃ち死傷させた18歳の自衛官候補生の男は、調べに対し「教官を狙った」「教官に叱られた」と供述しているということです。自衛官候補生の訓練について、自衛隊に詳しい軍事ジャーナリストの井上和彦さんに聞きました。
Q.自衛官候補生は訓練の過程で変わっていく?
井上和彦さん:
「一般的には大体3カ月の厳しい訓練、自衛官としての素養を身につけるという訓練の中で、7月1日に任官するわけですけれども、この3カ月間というのは非常に大きく変わる期間となっています」
Q.元陸上自衛官の男性への取材で『服従心を養う』という言葉がありました。
井上和彦さん:
「服従心という言葉が使われましたが、実際に命令に従ってもらわないと困るわけです。勝手な行動をしたり、命令に従わない不服従は、武器を扱う実力組織にとってあってはならないことです。むしろこの服従心というものは、しっかりと教育されなければいけません」
Q.今回の事件では、容疑者は『教官に叱られて狙った』と供述している。服従心を養うための訓練が逆効果になってしまったということは?
井上和彦さん:
「わが国は徴兵ではありませんので、自衛官は志願制なわけです。自衛隊に入るというのは、厳しい組織に入るということを覚悟して入ってくるわけですけれども、それでも今までの環境と大きく違う、自分が思っていた環境と違う、ましてや今回は『叱られた』と供述しているようですが、今までそういった経験のない若者が叱られるという事に対して絶望的な気持ちになったり、いろんな心境があってこういう犯行に及んだということなので、命令に服従するという教育に問題があるわけではないと思います」
Q.実弾射撃の訓練が早すぎるということは?
井上和彦さん:
「3カ月の期間、自衛官候補生というのは企業でいう試用期間と同じなんです。この試用期間の中で、段階を経て実弾を撃てるカリキュラムが組まれているので、早いということはありません」
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