新型コロナの影響で、学生の就職活動のスタイルが大きく変化しています。企業と直接面会する機会が減り、企業側が学生をオンラインでスカウトする「オファー型の就職活動」が広がりを見せています。

 学生にとっては、オンラインのため移動時間の節約や、様々な企業と出会うことができ、企業にも欲しいと思った学生を直接スカウトできるメリットがあります。

■移動時間が節約できるのもメリット…コロナ禍で定着したオンライン就活

 愛知県内に住む南山大学4年生の武本真奈さん(21)は、自宅にいながらオンラインで就職活動をしています。

武本さん:
「私が大学1年生の時とかは、スーツを着た大学生が就活に行くみたいな…。バタバタしていたような…」

【画像16枚で見る】就活生の登録者急増…広がる『オファー型就活』認知度低い会社も“攻めの採用”

「就活」といえば、リクルートスーツに、企業の合同説明会をイメージしますが、新型コロナの影響で今では選考過程のほとんどがオンラインで行われているといいます。

武本さんも、2021年5月から本格的に始まった就職活動でおよそ30社を受け、そのうち対面の面接は3回のみでした。

武本さん:
「オンラインだと、移動時間も無かったりするので、わりと時間に余裕があったりとか…」

 移動時間が無い分、1日に複数の試験が受けられるのもオンライン面接のメリットと武本さんは話します。

■コロナ禍で登録者が2年間で1.5倍に…広がる「オファー型の就活サイト」

 武本さんが使っている最前線の就活サイトが、「オファー型の就活サイト」です。

 従来であれば、学生が企業に対しエントリーシートを提出、通過すれば「面接」へという流れでした。しかし、ここ数年普及した「オファー型の就活」では、事前に学生が経歴や自己PRなどを登録。それを見た企業が気になる学生にオファーを出し、学生が承認すれば面接へ、という流れになります。

武本さん:
「プログラミングやっていて、その知識とかを生かせるような企業がいいなと思って、IT系見ています」

 様々な企業からオファーが届いた武本さんは、このオファー型サイトをきっかけに1社のIT企業から内定をもらいました。

 オファー型の就活サイトを運営するエン・ジャパンによると、新型コロナの感染拡大に伴い「オファー型就活」は拡大。就活生の登録者数がコロナ禍前の2020年卒に比べ、2年間で1.5倍以上に急増しているといいます。

 オンラインが主流になり、学生は様々な企業にエントリーできる反面、本当にどこが自分に適した会社か探りあぐねていました。そこで、企業側が自社に合うと思った学生を直接スカウトできる仕組みは、学生からも好評だといいます。

■求める人材を発掘し採用へ…オファー型就活サイトの企業側のメリット

 この「オファー型就活」には、企業側にもメリットがあります。

コプロ・ホールディングスの人事担当者:
「(学生に)まだ認知度が低い会社なので、待っていては集客ができない。こちらからアクションを起こす『攻めの採用』がしたい」

 建設業に技術者を派遣する名古屋市中村区の「コプロ・ホールディングス」は、3年前からオファー型の採用を導入しています。

 この会社の採用担当者は、プライベートに近い写真を掲載している学生も多く、どんな指向性を持つ人物かがわかる上に、会社が求める「目標をもって物事に取り組める学生」を発掘できる点が大きなメリットだといいます。

 この会社では今年、オファー型の就活サイト経由で7人に内定を出しました。その一人、東京都の大学4年生の平野左和さんに話を聞きました。

平野さん:
「限られた時間の中で、いかにマッチしそうな企業と出会えるか。そのプロセスにかかる時間が軽減されるから(オファー型の就活サイトを)利用してよかった」

 学生がイメージしている会社像と、企業が求めている人物像をマッチング。「オファー型の就活」は、今後ますます広がっていくかもしれません。