乳幼児を揺さぶり、虐待したなどの疑いでの裁判では、無罪判決が全国で相次いでいます。その要因となっているのが『SBS=乳幼児揺さぶられ症候群』の認定です。

 検察側は、乳幼児の脳に、3つの症状があるときに、揺さぶりがあった可能性が極めて高いとする「SBS理論」によって、捜査・立証をするケースが多いです。

1.硬膜とくも膜の間に出血する硬膜下血腫

2.眼の奥の部分が出血する網膜出血

3.脳が腫れる脳浮腫

 3つの症状があれば、ほかの原因が見当たらない場合、虐待とみなされる可能性があります。

 名古屋高裁は28日、これを否定し、「検察は揺さぶり以外の原因では症状が発生しない」という立証が十分ではない」として、一審の無罪判決を支持しました。

 近年では同様に、SBS理論が否定される判決が相次いでいます。日弁連によると、2017年以降のSBSが疑われた34の刑事事件のうち、28日の判決も含め少なくとも半数以上の18件で無罪判決が出ています。

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 逮捕になると、無罪が出るまで長期間子どもと会うことが制限されるため、理論の早急な見直しを求める声も上がっています。