愛知県あま市、静かだった町で10月から不審火が立て続けに起きています。取材で分かった、ある共通点をもとに、専門家が指摘する犯人像とは…。

 11月5日の深夜、あま市の建築現場で木材などが燃えた不審火。

近所の住民:
「早く捕まえて欲しいし、ちょっと怖いんですよね。なかなか落ち着いて寝られない」

 住宅街に畑や田んぼが点在するあま市の甚目寺地区が今、「連続不審火」で揺れています。

 始めに不審火が確認されたのは10月28日午後9時ごろ、小学校のすぐ隣にある漆部神社で雑草が燃えました。

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 それから2時間後、神社からすぐの畑の枯れ草が…。

 そしてその1時間後には、再び漆部神社の垣根の草から火の手が上がりました。

 甚目寺地区では10月28日以降も、半径250mほどの間で枯草や木材などが燃やされる不審火が5件。

 さらに半径1.5キロまで広げると2件と、ケガ人こそはいないものの、9日間であわせて7件の不審火が相次いでいます。

 静かだった町で発生する連続不審火。地元の消防団も警戒を続けています。

あま市東部消防団の分団長:
「ちょうど黒くなっているところ、あそこあたりに枯れ草が積まれていまして、そこに火が放たれて火事が発生しました」

 消防団が特に警戒しているのが漆部神社です。この神社では10月28日の2件以外にも、それから3日後には境内に積まれてあった枯草から火の手が上がる不審火が起きています。

あま市消防団の分団長:
「見ての通り枯れ草がたくさんあるというのと、(犯行時間帯は)暗いのと、ひと気もあまりないので」

 ひと気のない暗い場所ばかりで発生する不審火。犯罪心理に詳しい関西国際大学の中山教授は、土地勘のある人物による犯行なのではないかと指摘します。

関西国際大学の中山教授:
「10月28日(2件目)から29日(3件目)っていうのが1時間くらいですかね。それほど距離がないところに留まっているということを考えると、近く(に住む人間)かなという感じがします」

 中山教授が注目したのが、これまでの不審火で火が上がった時間帯です。最初の日に起きた3件の不審火の場所は、わずか200メートルほどしか離れていないにも関わらず、次に火があがるまでに1時間以上かかっています。

 怪しまれることなく現場付近に長い間いることのできる人物、つまり近くに住む人間の犯行では無いかと言うのです。

 また中山教授は、これまで不審火によるケガ人などはいませんが、今後はエスカレートする危険があると指摘します。

 注目したのが、7件目の建設現場の不審火による特殊な炎の上がり方です。水をかけた次の瞬間、激しくあがった火柱。油のようなものをまいた後、火をつけた可能性があります。

中山教授:
「燃やそうという意志が非常に強くなってくるとそうなりますね。だんだん最初の枯草から、住んでいないとは言え住宅にいったというのは、エスカレートしてきている可能性はありますね」

 甚目寺地区の住民らからは、目撃証言なども出始めています。

近所の住民:
「ダウンベストを着ていた男の人を見たって、消火した方がすれ違ったって言っていて」

不審火の目撃者:
「(漆部神社から)出てくる人がいて、バッと見た時に、男の人の後ろ側にある葉っぱが積まれたところに火がついていた。上はスエットっぽい感じかな」

 警察は、同一人物による連続放火の可能性も視野に捜査を進めていて、消防と連携して見回りを強化しています。

※画像は視聴者撮影