名古屋市中区栄に、缶に入った可愛いケーキのテイクアウト専門店があります。食材を地元三河産にこだわる豊橋出身の27歳の男性が、2021年9月にオープンしました。いちごやキウイなど、旬のフルーツが生クリームと一緒に缶に詰まったこのスイーツは、見た目の可愛さと美味しさで話題となっています。

■たっぷりの生クリームに果物が詰まった…缶に入ったケーキ「パルペ缶」

 名古屋市中区錦三丁目にあるスイーツのテイクアウト専門店「Heart to Heart栄」。看板商品は、缶に入ったケーキ「パルペ缶」(1缶750円~)です。

【画像20枚で見る】韓国で流行のスイーツから着想…缶に入ったケーキ『パルぺ缶』旬のフルーツと生クリーム

「パルペ」とは、韓国語で「パフェ」の意味。パルペ缶は、アクリル製の透明の缶の中にスポンジケーキとクリーム、フルーツを詰めたケーキで、美しい断面が特徴。フタを開けてみると、たっぷりのクリームの中にフルーツが埋まっていました。

 パルペ缶は、「いちご」(790円)や「キウイ」(790円)、「モンブラン」(850円)、「ティラミス」(750円)など、日替わりで5種類が揃っています。

女性客:
「インスタを見て、シャインマスカットといちごとチョコ」

男性客:
「インスタで見て4つ買いました。家族に」

 お客さんの多くは、お店のSNSを見て来店。1日200個限定のパルペ缶は、日によっては開店1時間で売り切れてしまうといいます。

■ケーキの食材は三河産を使用…地元豊橋を愛する店主のこだわり

 この店を切り盛りするのは、愛知県豊橋市出身の馬飼野亮太さん(27)です。

馬飼野さん:
「いちごは田原の農家のもの…。シャインマスカットは豊橋の農家から買わせていただいています」

 食材は地元三河産のものにこだわっています。パルペ缶は全て手作り。スポンジは、豊橋のケーキ店が焼いたものを缶の大きさに合わせてカット。甘さ控えめで、フワフワな食感が特徴です。

 カットしたフルーツを内側から貼り付け、馬飼野さんの親類が営んでいるという牧場の生クリームを詰めていきます。

女性客:
「甘すぎないクリームです。なめらか。ふわふわしておいしい」

別の女性客:
「くどくなくて、さっぱりしているから、甘いいちごと合っておいしいです」

 コクがありながらもあっさりしていると好評の生クリームを詰め、機械でフタをすれば完成です。

■きっかけは実家の居酒屋の危機…韓国の流行りのスイーツから着想を得て「パルペ缶」を考案

 パルペ缶が生まれたのは、新型コロナの影響で馬飼野さんの実家が営んでいる居酒屋が、存続の危機に陥ったことがきっかけでした。

馬飼野さん:
「自分たちの農家さんとのつながりを活かして、なんとか再興できないか…。飲食店でエンターテインメントをしたいというか…」

 2020年に豊橋の実家のそばに、姉と一緒に「Heart to Heart」の1号店をオープン。姉が韓国好きということもあり、ミルクを瞬間冷凍させ削って作る、韓国版かき氷「ピンス」(1個500円~)を看板商品にしました。

 2021年9月に名古屋に2号店を出店。ピンス同様、韓国で流行っていた缶にフルーツを詰めた“パルペ”に着目。テイクアウト専門店を開きました。

■名古屋で豊橋をアピール…「パルペ缶」で地元豊橋の魅力を発信

 海外スイーツをヒントにしていますが、馬飼野さんが一番大切にしているのは、地元豊橋です。名古屋大学を卒業した馬飼野さんは一旦、大手保険会社に就職しますが、1年で退職。その理由は、ある夢を追いかけるためでした。

馬飼野さん:
「ボートレーサーになりたくて…。ボートレーサーって地元で走ると地元のファンがいるんですよ。そういった意味でも、(豊橋を)盛り上げられるかなと…」

 夢を実現させるためにボートレーサーの養成所に入りましたが、ある病にかかってしまいます。

馬飼野さん:
「一過性の甲状腺機能低下症という病気になってしまって…。1か月入院して、その後(養成所を)退所した」

 残念ながらボートレーサーの夢は断念しましたが、豊橋を盛り上げたいという思いは変わらず、「Heart to Heart」を立ち上げました。

馬飼野さん:
「今後は、冷凍して全国に届けられるようなスイーツを。名古屋だけでなくいろんな所で挑戦したい」

「地元を出て豊橋発をアピールすることで、豊橋の魅力を伝えたい」というのが、馬飼野さんの思いです。

 缶に入ったケーキ「パルペ缶」を販売する「Heart to Heart栄」は毎週金・土・日の3日間営業しています。詳しくはインスタグラムの公式アカウントに掲載されています。