
愛知県半田市にある歴史的な建築物で、取り壊しの危機から救った地元の人たちが炊事場の巨大なかまどを修復し、「窯炊きご飯」の試食会を開きました。
半田運河沿いにある「旧中埜半六邸」。ミツカンの創業家である中埜一族の9代目半六が、1889年に完成させた貴重な邸宅です。

11月、その炊事場で7つも連なる巨大なかまどの修復の仕上げ作業が進められていました。
三好左官工房の代表:
「このサイズでレンガで作るのは初めてですね。金額的にももう作るのは諦めるかなと思っていたのが、半六コラボさんがつくるということで」
【画像で見る】『旧中埜半六邸』炊事場の“巨大かまど”を修復 集客の目玉に

建物を管理しているNPO法人「半六コラボ」の杉浦明巳さんと阿部麻子さん。
半六コラボの阿部さん:
「負担になるということで(市が)取り壊しを決めてしまって…」
2009年に半田市の管理となったこの半六邸でしたが、市はこの場所を「広場」にすると発表。反対署名を集めるなど杉浦さんたちの2年半に及ぶ活動の結果、建物の所有権はNPOに移されました。

半六コラボの杉浦さん:
「年に何回かイベントを行いまして、そこで得た収益を改修の費用に充てるという活動を9年間行ってきました」

少しずつ改修しながらなんとか建物を存続させて来ましたが、ことし再びピンチに。修繕費用の財源となっていた母屋一階の豆腐料理店が、コロナによる客の減少でことし2月、突如閉店したのです。

そこで2人が考えたのが…。
半六コラボの杉浦さん:
「手つかずになっていた炊事場の七連のかまどを修復したいという」
巨大なかまどを復元し、集客の新たな目玉にしたいと、以前の姿にできるだけ忠実に戻すことにこだわりました。

半六コラボの阿部さん:
「昔はよかったというノスタルジーだけじゃなくて、今なお素敵な場所でうまく活用して使っていることに対して、自分たちの街に誇りを持ってもらいたいな」
工事開始から3カ月、無事にかまどの修復が完了。関係者を集め「釜炊きご飯」の試食会を開催しました。

半六コラボの阿部さん:
「おいしい、おいしい!」
半六コラボの杉浦さん:
「うん、香りがいい」
三好左官工房の代表:
「おいしい!自分で作ったかまどで炊いたご飯って最高だ!」
半田市民:
「貴重な文化遺産なので、可能だったら残していってもらいたいですね」
別の半田市民:
「半田らしさが感じられて、残ってくれてよかったなと思います」

半六コラボの杉浦さん:
「よかったです、皆さんに喜んでもらえて」
半六コラボの阿部さん:
「体験観光みたいな感じでご飯炊きはやれるといいなと。こういう古い建物が残ってて、それを活用してわくわくするような場所であり続けていられたらなと」