ドラゴンズOBの鈴木孝政さんが、東海ラジオ『大澤広樹のドラゴンズステーション』に出演し、現役時代にマウンドに立っていたときに守備がうまいと思ったドラゴンズの選手ベスト3を挙げた。

 鈴木さんは1973年から89年までドラゴンズ一筋で活躍。ベスト3を挙げるにあたって、はじめに「高木守道さんは別格」としてレジェンドの二塁手は除くとした。

 まず、第3位に挙げたのが中尾孝義さん(ドラゴンズ1981年~1988年 ベストナイン2回)だ。鈴木さんは「彼がキャッチャー革命を起こした。それまでのキャッチャーのイメージを変えた。守備でヘルメットを被ったのも中尾が最初」として、初めて見たときの衝撃から話し始めた。

初めて見たのは、中尾選手の専修大学時代。鈴木さんが、専修大にいた知り合いを訪ねて神宮球場に行った際、バックネット裏から見て「すげえキャッチャーだな、こいつ。動き、肩、全てが違う。こんなすばらしいやつがキャッチャーをやっているんだ」と思ったそうだ。

その後、中尾選手は社会人を経てドラゴンズに入団。ドラフトではジャイアンツも中尾選手を狙っていたといい、そのときのことを鈴木さんは「ジャイアンツに行かれたら、ジャイアンツは当分強いだろうと思っていた。ドラゴンズが獲ってくれてどれだけ安心したか」と振り返った。実際にバッテリーを組むとまた驚いた。「足が速い。セカンド送球も速い。セカンド送球は、気を付けていないと当たりそうな感覚だった」と称賛した。

 第2位は宇野勝さん(ドラゴンズ1977~1992 ベストナイン3回)。ショート前のボテボテのゴロの処理が抜群にうまく、ピッチャーが『一塁は間に合わない』と諦めるような当たりでもアウトにすることが多かったという。グラブさばき、捕ってからの送球の速さ、肩の強さと次々と長所を挙げ、現役時代に本当に助けられたと話した。

 第1位は藤波行雄さん(ドラゴンズ1974~1987)だ。鈴木さんは「野球通は外野手なら平野謙を挙げるかもしれない」とし、実際平野さんのほうが試合にも出場していたという。しかし左中間や右中間にいい当たりを打たれたときに打球の方向を振り向くと、「すでに動いていたのが藤波さんで、まだ動いていなかったのが平野さんだった」と、両者の違いを挙げた。

藤波さんは打球の行方を予想していたかのようなスタートで第1歩が早く、左中間や右中間への打球をよく捕ってくれたという。「平野さんのほうが肩が強かったので、総合力では平野ということになるかもしれないが、捕ってアウトにするだけなら藤波行雄がNo.1」とした。

 ただ、「これを平野が聴いていたら『そんなことはない、自分も動いていた。どれだけ助けたか』と言うと思うが」と笑いを誘った。