岐阜県の世界遺産「白川郷」の唯一の温泉施設「白川郷の湯」は、2022年2月に火事に見舞われ、86歳の創業者が亡くなりました。孫は一時、廃業を考えましたが、祖父が残した温泉宿を残したいとクラウドファンディングで修繕費を募っています。

■「祖父の思いをつないでいきたい」…火事に見舞われた温泉宿の再建を目指す

 岐阜県の世界遺産「白川郷」。

【画像10枚で見る】火事に見舞われ創業者亡くす…世界遺産『白川郷』の温泉施設 クラファンで修繕費募り再建へ

「白川郷の湯」は、白川郷で唯一の温泉施設でした。

しかし2022年2月に建物から出火し、宿の創業者である渡辺靜雄さん(当時86)が亡くなりました。

白川郷の湯の副支配人・渡辺慎弥さん:
「2階へどうぞ。今だいぶ片付いているんですけど。この辺りが火元」

副支配人でもある孫の慎弥さん(36)は、火事が起こったとき、何が起こったかわからず頭の中が真っ白になったといいます。

2階にあった食堂と厨房は全焼。もともとコロナで売上が落ち込んでいたこともあり、廃業も考えたといいますが…。

慎弥さん:
「たまたまここに防火壁、厚めの石膏ボードがあり、おかげでこちら側には火がほぼ来ていない」

比較的消火が早かったことと防火壁のおかげで、温泉や客室側の被害は最小限に食い止められました。しかし大規模な修繕は必要です。

慎弥さん:
「最初はあきらめかけたんですけど、祖父の思いや遺志もあるので、そちらを継いで再建に向けて頑張りたい」

祖父が残した温泉宿を何とか再建したい。慎弥さんはクラウドファンディングを立ち上げ、返礼品として温泉の入浴券や宿泊券を用意し、寄付金を募ることにしました。

慎弥さん:
「火災の件で村民の方、お客様にご心配とご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。祖父の思いを継いでいきたいと思っています」

集まった寄付金は、5/24時点で目標金額1000万円のおよそ半分の557万6000円。

修繕費が用意できたら、2階部分に川の景観を活かした「テラス席」を作りたいと話す慎弥さんは、復活を目指して動き出しています。

「白川郷の湯」のクラウドファンディングは、5月27日まで寄付を募っています。