東海3県では先週、最高気温が40度近くなるなど記録的な暑さが続きましたが、体調を崩して救急車を呼ぶ人も増えています。灼熱の中、対応に当たる救急隊員たちを取材しました。

 救急隊が向かったのは、通勤ラッシュの名古屋駅。そこには、ぐったりした様子で車いすに座る30代の女性がいました。

救急隊員:「分かります?目まいする?」

女性:「ちょっとふらふらします」

救急隊員:「すぐそこに担架来たんですけど、動けそう?」

 目まいや頭の痛みなどを訴える女性…。

救急隊員:「水分はしっかり取っていました?」

女性:「え、あ、はい」

【動画で見る】通勤ラッシュ時ぐったりした女性が…灼熱の中“熱中症患者”に対応 救急隊員に密着「例年より気を付けて」

名古屋市消防局救急救命士の消防司令補:
「ちょっと暑いので若干の脱水もあったのかなと思います」

 原因は暑さによる脱水症状。連日の暑さで今、体調不良を訴える人が増えています。

 名古屋駅近く、ビル街の一角にある「特別消防隊第二方面隊」。救急だけで平均1日13件ほどの出動があります。

 この日、消防署の気温計は40度超えていましたが…。指令の合図が鳴るとわずか1分ほどで出動。

救急隊員:「高齢男性、足腰痛い、熱中症疑い、意識あり、警察からの通報です」

 現場へ向かうと、顔面蒼白の男性が路上に倒れていました。

警察官:「えらくないなら自分で立って帰ろうかってなったんですけど」

救急隊員:「全然動きないってことね。もう乗せるわ、暑いもんな」

 急いでストレッチャーに乗せて救急車へと運びます。

救急隊員:「おうちはこの近くですか?」

男性:「あー」

救急隊員:「今救急車乗っているのわかります?」

男性:「わかるよ」

救急隊員:「生年月日はいつですか?」

男性:「なんで◎△%#!」

救急隊員:「病院行くのに大切だからです」

 少し話がかみ合わない様子。

救急隊員(病院に電話中):
「熱が40度あって今、ちょっと動くことができないっていう風な状態」

 体温が高い患者には「瞬間冷却剤」を使用。

 叩いて衝撃を与えると保冷剤に早変わりする道具で、この男性にも太い血管が通っている首筋にあてて体を冷やします。そのまま「熱中症の疑い」で病院へと運びました。

名古屋市消防局救急救命士の消防司令補:
「今の事案はですね、70代の男性が路上で動けなくなっているというものでした。話しかけてもまともな答えが返ってこないような状態で。意識障害があるなと判断しました」

 熱中症は、立ち眩みや足がつるといった症状から始まり、深刻なものでは意識障害を起こして脳に後遺症が残ることもあります。

 市の消防局によると、熱中症の疑いによる救急搬送の件数が2022年6月は例年と比べて大幅に増加。

 中でも、65歳以上の高齢者がおよそ6割を占めています。

 暑さでこんなケースも…。

 朝からビールを1本飲んだという男性。お酒は利尿作用などがあるため、水分補給にはなりません。炎天下を歩いたためか、脱水症状を起こしていました。

名古屋市消防局救急救命士の消防司令補:
「一般的なことなんですけど、こまめに水分を取っていただいて、エアコンは我慢せず適切な温度で使っていただくと。体が順応する前に本格的な夏の到来といった感じですので、例年と比べてより一層の熱中症に気を付けた対応をお願いしたいところです」