王貞治さんの持つホームランの日本選手最多記録に並び、新記録への期待が高まるヤクルトの村上宗隆選手。55本のホームランを打ったバットを作った職人が、岐阜県養老町にいます。「村神様」のバットは他の選手とどう違うのでしょうか。

 9月13日、王さんに並ぶシーズン55号のホームランを放った村上選手。日本選手最多記録更新がかかった21日の試合は、ドラゴンズ投手陣を前に「新記録達成」とはなりませんでしたが、残り10試合で56号、さらにシーズン最多の61号が期待されます。

 そんな村上選手のバットを作る職人が、岐阜県養老町にいます。

名和民夫さん55歳。この道30年のベテランです。これまでイチローさんや松井秀喜さんなど、多くのプロ野球選手のバットを手掛けてきました。

【動画で見る】松井氏よりイチロー氏寄りに…記録更新目前!ヤクルト村上のバット作る職人に聞いた“村神様モデル”の特徴

村上選手が並んだ、歴史的な記録に対しての感想は…。

バット職人の名和さん:
「並ばれてなかった記録に並ばれたということで、知った時には鳥肌が立った。向上心がすごくおありになって、もっと打ちたい、もっと打ちたいっていう気持ちがそういうふうに表れていたんじゃないかなと思うんですけど」

 村上選手と初めて会ったのは4年前、プロ1年目のオフシーズンでした。

バット職人の名和さん:
「本当に好青年。『こうしたいので、こうするにはどうしたらいいですか?』という聞き方をされて、探求心が非常に強いなと。『長距離になるべく近いバットを』というご要望は受けた覚えがあります。非常にバットに対する考え方をしっかりお持ちだなという印象はありました」

 バットの特徴は、長距離バッターとしては短めの長さ85センチ。

また、ヘッド部分がくり抜いてあるため振り抜きやすく、操作性も高くなり、ボールも見極めやすくなるといいます。

並べてみると、長距離バッターの松井秀喜さんよりも、イチローさんのバットに近い形になっていることがわかります。村上選手は現在、アベレージヒッターに近いようなバットを使用しているのです。

バット職人の名和さん:
「すごいのは村上選手であって、私がやらせていただいているのは、その中のほんの少しだけのことですので。少しのことでも携わらせていただけたというのは非常にありがたいなと」

 2021年、名和さんのために村上選手がサインしてくれたボール。「ホームラン王」「日本一」と目標を綴っていました。

 バット職人として、村上選手が新記録を樹立したら伝えたいことは…。

バット職人の名和さん:
「やはり最初には『おめでとうございます』という言葉と、56号がたぶん終点・目的ではないので、その先を打てるように、私たちは全力でサポートさせていただきますという言葉をおかけしたい」