空前の「キャンプブーム」を迎えている。岐阜県郡上市の人気のキャンプ場で、爽やかな自然を堪能する、十人十色のキャンプスタイルを見せてもらった。

■キャンプ初挑戦の家族連れ テントを張るだけでクタクタに

 名古屋から車で約2時間。岐阜県郡上市にある「Alpen Outdoors しろとりフィールド」。2022年7月にオープンしたばかりのキャンプ場だ。

【動画で見る】“ソロキャン”に“ママキャン” 思い思いのグルメも…人気キャンプ場を訪れた人たちの十人十色の楽しみ方

森林浴が気持ちの良い「フォレストサイト」や、景色が美しい「展望サイト」など全部で38区画。

天然温泉も整備されている。

午後1時、チェックインが始まった。

記者:
「今日はどちらから?」

家族連れで来た主婦・大沢由衣さん(33):
「愛知県安城市。キャンプを始めたいなっていう風に家族で話していて、ここで手ぶらキャンプやれるっていうことだったので…」

小さい子供3人を連れた、大沢さん一家。家族の思い出作りにキャンプ初挑戦。

夫の佳樹さん(36):
「何が何だか分かんない…」

由衣さん:
「なんとなくこれな気がする…」

隣のテントは完成したが、1時間経ってもこの状態…。

見かねたキャンプ場スタッフがやってきた。

キャンプ場のスタッフ:
「このテントすごく長いので、どんどん後ろから前の方につけてください。最後にタープを持ち上げて、完成という形になるので」

2時間の格闘の末、ようやくテントが「完成」。

佳樹さん:
「できたできた、すごい汗だけど。むちゃくちゃ暑いです」

記者:
「ちょっと手伝ってもらったんですね?」

佳樹さん:
「かなり!」

子供:
「はぁ、疲れた!」

由衣さん:
「『疲れた!』って…(笑)」

初めはうまくいかない。「キャンプあるある」だ。

■「動物にうつるのが一番怖い」 獣医師同士の2人はキャンプ場でもソーシャルディスタンス

 午後3時。立ち並ぶテントも増えてくると、乾杯を始めるキャンパーがちらほら出てきた。

記者:
「今、おひとりで?」

伊勢市から来た中津翔規さん(30):
「ひとりで。ソロキャンプですね。最初は(芸人の)ヒロシさんから入って、それで影響されてハマっちゃいましたね」

自然の中、自分だけの時間を楽しむソロキャンプ。一人でテントを張るのも慣れてしまえばあっという間で、最近では女性のソロキャンパーも増えているようだ。

いかにも上級者っぽい2人がいた。

火打石で火を起こし、拾った枯れ葉などからたき火していた。

2人はキャンプ道具を最小限に抑え、必要な物は現地調達する、「ブッシュクラフト」というワイルドなスタイルだ。

愛知県犬山市でチンパンジーなどの獣医をしている兼子明久さん(45)と…。

「日本モンキーセンター」で働いている岡部直樹さん(56)。

獣医の“先輩”“後輩”だという2人。ちょっと「距離」があるような…。

兼子さん:
「(コロナが)動物にうつるのは1番怖いので、われわれ獣医としてはそこが1番(気をつけている)。世界では動物園のゴリラとかが(コロナに)なった例もありますし、もしもわれわれがなったら目も当てられないので。獣医って少ないので」

万が一にも「職場のサル」がコロナにかからないように。感染対策を徹底したキャンプスタイルだ。

■キャンプの醍醐味「食べたい料理を好きに食べる」

 午後5時半。キャンプ場は、ディナータイムに。みなさんの夕食を見せてもらった。

男性:
「あーいいにおいしてきた!」

女性:
「あー豚の香り」

「キャンプと言えば」のカレーに…。

ホットサンド。

飯ごうで炊いたご飯と豪快なプルコギ。

タマゴとササミの「燻製」を作っているご夫婦もいた。

「ソロ」で楽しんでいる伊勢市の中津翔規さんも、そろそろ晩ご飯だ。

中津さん:
「中華鍋でやるみたいなドラマがあって、YouTubeで。それでまねしてやっているんですけど」

YouTubeでレシピ動画を見ながら、「キャンプ飯づくり」に挑戦。まずは中華鍋でエビの殻をサッと炒め、油にうま味をうつしたら、溶き卵を入れて、飯ごう炊きのご飯を投入。塩コショウは目分量でOK。

たき火の強い火力でジャジャっと炒めたら、レタスと炒めたエビと合わせれば、エビチャーハンの完成だ。

中津さん:
「いいんじゃないですか…できました。いただきます。うまいですね。コショウ効いています。うま!」

自然の中で、食べたい料理を好きに食べる。キャンプの醍醐味だ。

■気兼ねなく“ママキャン”楽しむ2人…でも「子供の話とかしちゃうよね、結局」

 午後9時半。あたりはすっかり暗くなり、そろそろ寝袋に入る人もいる中、まだ灯りが灯るテントがあった。

記者:
「お2人ですか?」

春日井市から来た柘植さん(42):
「はい。留守番です、家族は」

記者:
「これ、何キャンって言うんですか?」

春日井市から来た鶴森さん(43):
「“女子キャン”はおこがましいよね。“ママキャン”でお願いします」

息子同士が同級生で、普段は家族ぐるみでグループキャンプをしているという。

柘植さん:
「ちょっとやってみたかった。子供達もちょっと大きくなって『パパとお留守番できるよ!』って」

鶴森さん:
「家族と行くと、子供が楽しむのをメインにしちゃうとバタバタしちゃって」

柘植さん:
「子育てちょっと忘れて『イエーイ!飲んじゃえ!』みたいな」

記者:
「これは、生ビールサーバー?」

柘植さん:
「そう、借りました。こういう時ぐらいしか(飲めない)」

鶴森さん:
「すごくテンション上がりました」

子育てを忘れ、たまにはゆっくり。でも結局、話題に上がるのは…。

鶴森さん:
「子供の話とかしちゃうよね、結局。(子供が)寂しがっていたけど、『ちょっと行ってくるね』って。(離れるのは)初めてなので寂しがっていましたけど…」

柘植さん:
「昼過ぎには帰るよね」

ついつい考えてしまう、家族のこと。今度来るときは、大切なファミリーと一緒に…。

■結婚式より新型のランクル… 車がキューピッドとなった新婚夫婦のキャンプ

男性:
「気を遣わなくていい。その代わり体力使います。もうヒーヒー言ってます」

喧騒から離れた、静かな夜。まるで別世界のような時間が流れていた。

扶桑町から来た男性(54):
「(キャンプの魅力は)泊まりに行く。非現実な世界で、時間ゆっくり。そんな感じを味わいたいから」

扶桑町から来た女性(53):
「最高です」

車がキューピッドになったという新婚夫婦もいた。

刈谷市から来たフリーランスの女性(30):
「車が好きで、お互い」

刈谷市から来た製造業の男性(33):
「ランドクルーザーっていう…。とにかく格好いい!」

結婚式はあげず、その分も車に充てる方が良いというほどの車好きだ。

博美さん:
「しない…。(お金を)結婚式にかけるよりも、新型のランドクルーザー買う方がいいよねって…」

大自然を五感の全てで感じられる場所。キャンプ場には、それぞれのライフスタイルを満喫する姿があった。