11月20日に開幕した「FIFAワールドカップ2022」。23日にドイツとの初戦を迎える日本代表には、三重県伊賀市出身でJ1の湘南に所属するフォワード・町野修斗(まちの・しゅうと)選手が追加召集されている。話題となっているゴールを決めたときの「忍者ポーズ」を、ワールドカップ本番でもぜひ見たいと期待されている。

■追加招集で選ばれた伊賀市出身の町野選手 ゴールパフォーマンスの「忍者ポーズ」が話題に

 20日に開幕したW杯。日本代表メンバーに追加召集された、三重県伊賀市出身の町野修斗選手(23)は、J1・湘南ベルマーレに所属し、身長185センチと恵まれた体格の大型フォワードで、強烈なミドルシュートや、空中戦にも強いフィジカルが魅力だ。

7月の東アジアサッカー選手権で代表デビューし、3ゴールをあげて、得点王に。J1でも、日本人最多得点の13ゴールと、いま最もアツい選手の1人だ。

ファンの間で話題になったのが、町野選手の「忍者ポーズ」だ。恒例のゴールパフォーマンスで、いまや「代名詞」になっている。

【動画で見る】小4時の“キックオフゴール”映像あり…W杯代表追加招集の三重県伊賀市出身・町野修斗選手


■修斗という名前に込められた父の願い ズバ抜けたセンスで小4時には“キックオフゴール”も

 町野選手が育った地元、三重県伊賀市は言わずと知れた「忍者」の町。

地元・伊賀市で、町野選手の素顔に迫った。町野選手の実家の畳店で、父・理(おさむ 61)さんが取材に応じてくれた。

町野選手の父・理さん:
「ビックリと同時に、やっぱり(W杯出場は)修斗の夢でもありますんで、『やった!』っていう気持ち」

サッカーをするために生まれてきたような「修斗(しゅうと)」という名前について聞いてみた。

理さん:
「“私の夢を修斗に乗せる”じゃないですけど、サッカー選手になってもらいたいなと…。サッカーって言うところでシュートが一番大事なところなので、みんなに覚えてもらいやすい」

理さんは元実業団のサッカー選手だったが、Jリーグ発足前に足の大ケガで現役を引退。「修斗」という名前は、プロサッカー選手になるという自分の夢も乗せて名づけられたものだった。

4歳のときにサッカーを始めた町野選手は、小学生のころからすでに、他の選手と比べてずば抜けていたという。

小学4年生の時には、「キックオフシュート」を決めたこともあった。

理さん(ビデオを見せて):
「この今から蹴る(背番号)7番ですね。キックオフシュートっていって、1発で(ゴールを決めた)。キックには自信があったみたいですね。(ゴールまで)30メートルくらいあるんちゃますかね。(修斗選手以外)ほとんどいなかったですよね、そこから狙う子なんて」

その名にふさわしい“シュート”力は、幼いころから健在だった。

理さん:
「『お祭り騒ぎやわ』って(LINEを)送ったら、『W杯は祭りやな』とか言って…(笑)。何も失うものはないので、思いきりやってほしいです」“夢を乗せた”息子が、大舞台・W杯へ。

■市全体で祝福…同級生のスポーツ振興課職員「忍者ポーズもして精一杯力だしてほしい」

 町野選手の代表選出は、市ぐるみで祝福されている。市役所入り口には、「忍者ポーズ」の町野選手が大きなパネルに。

伊賀市役所スポーツ振興課の安場稜(やすば・りょう 23)さん:
「大至急でパネルを作ったり、懸垂幕を用意したりして、市でも盛り上げたいということで」

スポーツ振興課の一員で、町野選手を応援する安場さん、実は…。

安場さん:
「小学校からのチームメイトで、保育園から中学校までの同級生です。当時は修ちゃんってと呼んで…」

小学生のころ同じチームでプレーした、同級生だ。

安場さん:
「今でも信じられないくらいなんですけど…。得点をバンバン決めていただいて、“忍者ポーズ”もしていただいて、ケガのないように力を精一杯出してほしい」

■「忍者ポーズ」を教えたのは“誰か?” 錯綜する情報に町野選手本人が「人違いです」とツイートし事実判明

 そして、2022年から始めたという代名詞の「忍者ポーズ」。市内にある「忍者博物館」に、町野選手に教えた”師匠”がいるという。

「師匠かも」という2人を直撃してみると…。

伊賀忍者特殊軍団「阿修羅」の知之助(とものすけ)さん:
「彼(町野選手)がゴールを決めたときに忍者のポーズをしますが、このポーズを教えたのが、わが軍団の頭領か、私、知之助と言われています」

伊賀忍者特殊軍団「阿修羅」の浮田半蔵(うきた・はんぞう)さん:
「誰も覚えてないんですよ」

知之助さん:
「年間、何千人という方が手裏剣体験をされるますので、覚えるのも大変なので…」

半蔵さん:
「まさか、そんな有名な選手が伊賀にいることも知らなかったから」

知らないうちに教えていたというが、町野選手の「忍者ポーズ」の完成度は…?

半蔵さん:
「ちゃんとできてる。ちゃんと腰も落として、ちゃんとできてるね。ほとんど(の人は)反対に手を持ってくるから。これは(刀を)鞘から抜くという意味だから、鞘を抜いてこう(左手が上)ですよね」

「忍者ポーズ」は左手が上、大半の人が右手を上にするらしく、たしかに町野選手が本物の忍者に教わったことは間違いなさそうだ。

知之助さん:
「忍者の里で育ってますから、忍者のようなこうフェイント、そしてシュート。現地の解説者から『Oh、忍者!』これ聞きたいですね!」

しかし後日、新たな事実が…。湘南ベルマーレのファンブックアカウントが、「忍者ポーズ」を教えたのは、頭領の半蔵さんだとツイートしたところ…。

<町野選手のツイート>
「人違いです!笑」町野選手は、手裏剣体験の写真とともに師匠は別人だと訂正。本物の師匠は、半蔵さんの弟子にあたる正莊(まさただ)さんということがわかった。

「忍び衆華武姫」の正莊さん:
「私自身、まだまだ修行の身ですので、師匠と呼ばれるのがすごく気恥ずかしい感じではあるんですけど…。(忍者ポーズは)心構えをすごく表しているポーズの1つなんですよ。きちんと聞いていただき、そしてそれを使っていただいているというのは、すごく光栄なことだと思います」

町野選手本人に聞いてみると、「忍者ポーズ」は故郷への恩返しを表す形だった。

<町野選手のコメント>
「自分だけのパフォーマンスを作りたくて、出身地・伊賀といえば忍者ということで始めました。地元から応援してくれる人がたくさんいるので、その人たちに感謝しています。応援してくれる人たちにはプレーで恩返しするしかないので、熱いプレーをおみせします」